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「コンサルには頼らない」と断言する富士通社長が、なぜコンサル1万人計画を掲げたのか

三ツ村 崇志[編集部]

三ツ村 崇志[編集部]

Feb 18, 2025, 5:00 PM

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富士通
撮影:三ツ村崇志

「(リモートワークを)変えるつもりはないです」

国内ITサービス大手・富士通の時田隆仁(ときた・たかひと)社長は、そう明言する。

事業改革の真っ只中にある富士通。インタビュー前編で紹介した通り、Fujitsu Uvance(ユーバンス)を起点に、業界を横断したITソリューションの開発・提供を進めている。その中で社長の時田隆仁氏が最も重要だとしているのが、グローバルで12万4000人にも及ぶ従業員の行動変容だ。

2024年、富士通では年初に「コンサルティングスキルを持つ人材を1万人規模にまで拡充する計画(以下、コンサル1万人計画)」を打ち出したほか、間接部門の幹部社員を対象とした早期退職の募集や、神奈川県川崎市への本社機能の移転など、「人的資本」に関する話題も世間からの注目を集めた ——。

時田社長に、「人」に対する考え方を聞いた。

※この記事は2025年1月8日初出です

「コンサル1万人計画」本当の狙い

富士通の時田隆仁社長。
富士通の時田隆仁社長。2019年に社長に就任した。取材は川崎のオフィスの20階にある会議室で実施した。晴れた日には、東に房総半島、西に富士山が見渡せるという。
撮影:伊藤圭

—— 2024年2月には「コンサル人材を1万人規模で採用する」という方針を打ち出しました。どんな背景があったのでしょうか。

時田隆仁社長(以下、時田):社内でも話していますが、コンサル人材を1万人にすることが目的ではありません。今のところ、2023年段階で2000人コンサル人材がいて、2024年に5000人を目指すと話をしています。

2025年には1万人になればいいなと思っていますが、目的はきちんとしたコンサルタントの素養を持った人材を相応の規模で抱え、Fujitsu Uvanceをはじめ、富士通が正しく理解されるコミュニケーション(ストーリー)をお客様や社会に対してやっていくことです。

(コンサル人材1万人計画は)それを実行できる人たちが相応の規模でほしいというだけなんです。

—— Fujitsu Uvanceで目指している「業種をまたいだ領域(ホワイトスペース)」での事業創出を担える人材を増やすという意図ですね。

時田:最初は「3000人にしましょう」という話もありました。僕からすれば、1万人くらいはいてもいいと思ったんです。従業員数12万4000人の会社、それも社会課題の解決や世界が持続可能であることに貢献すると言っている企業で、ストーリーを語れる人が1万人ですよ。

—— そう言われると「たった10分の1」とも感じます。

時田:1万人いれば、相応のメッセージを届けられるのではないかと思っています。

富士通には、もともと日本の営業人材が8000人いました。昔は8000人の営業部隊を持つ製造業だったんです。これはものすごい数です。

8000人の営業は、お客様とのエンゲージメントやリレーションを構築する重要な機能を担っていたかもしれません。ただ現代では、CPUに何を使っているとか、メモリーはいくらだとか、そういうことが求められているわけではありません。

昔そういった営業人材が8000人もいたんだから、今なら(ストーリーを語れる)コンサルタント人材が1万人くらいいるのが普通ではないか、という話です。

「ホワイトスペースを埋める」ということがどういうことなのか。製造業や小売業の中の人にはなかなか分からないものです。だって、自分たちがやっているのは製造や小売の商売なんですから。

なぜ隣の業界と手を組む必要があるのか。そこをストーリーで語る必要がある。

失敗し続けたコンサル人材の育成

富士通のCEO時田隆仁氏の写真。
撮影:伊藤圭

—— そういう意味で、富士通が社内で求める「コンサルティングスキル」は、一般的なコンサルに求められる能力とは少し異なるのでしょうか。

時田:もう1つ、1万人の根拠として「6万人」という数字があります。ものすごいトリッキーなやり方ですが、富士通の中で名刺の肩書を「コンサルタント」にしてもいいなと思える人材プールが6万人いたんです。


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