最近はタダで手に入るものが増えました。ニュースしかり、データしかり、ソフトしかり。
本来のサービスを無料で提供する代わり、広告で稼ぐというパターンですね。
手口はいろいろ。必ず見せるとか、併せてダウンロードさせるとか……
あ、小説もタダでしたね。
逆に言えば……手っ取り早く収益化するなら、同じことをすればいい。
必要なのは書籍化ではなく、スポンサー。
ということで試みられた本作。
小説と宣伝、意外と相性よさそうですよ?
どんなに美辞麗句を書き連ねたって、誇大広告にはなりません。だってフィクションなんだから。
でも金にならなくなったら、見切りも必要。損切りってヤツですね。
作中に実例が載っているので、むしろ読まなきゃソン。
広告の付き具合で二転三転する心情。
ご都合主義? 無理筋? 伏線? いっさい関係ありません。
だって……フィクションなんだから。
読み終えたとき、思いました。
踊らされているのは誰なのか、と。
キャラや原作者? それともスポンサーあるいは――――
現代社会を支配する力へのアンチテーゼを投げかけています。
ですからお星様は、あえて二つ。
この「稼ぎ方」が広まってしまったら困りますからね。
この作者(達)の頭の中を覗いてみたい。どの作品にも共通する感想だが、今回は特にそれを感じた。
この発想はどこから出てくるんだ。そしてそれを実際に作品として実現できる才能が凄い。
本作は、実験小説と題されている。確かに、スポンサー付きの小説なんて読んだことない。だからこそ“実験”である。
だが一方で、もしかしたら我々は、気づかないうちに何らかのステルスマーケティングに引っかかっているのかも知れないと思わないでもない。
まぁ、この作品のスポンサーに対する忖度は半端じゃない。たったの5話なのに、読者である我々が、幾つかのスポンサーの名前を覚えてしまったくらいだ。
待てよ。これが作者の狙いか?
そのスポンサーが実在していて作者は何らかの見返りを得ているのかも知れない。
もしそうなら、この実験は大成功だ。
第一話からドッカンドッカン笑わせてくれる作品です。
新感覚! まさにその言葉がぴったりの、新しい笑いを提供してくれること請け合いです。
物語は、とある事件を追う刑事たちにフォーカスを当てて進められます。
どんな事件が起きていて、果たしてその真相はいかに。
……などということは、これという問題ではない!
肝心なのは、物語が始まる前に表示される、「とあるスポンサー」の名前。
スポンサー? なんのこと? 小説にスポンサー???
そう思いながら読み進めると、「なるほど、そういうことか!」と笑いがこみ上げることに。
この作品は新感覚のWEB小説であり、これにはなんとスポンサーが存在する。
そして、スポンサーと言えば、ドラマの中で登場人物が缶コーヒーを飲んだり、ガムを噛んだりするシーンが出てくるのが基本。
有名なところでは「古畑任三郎」の中でキシリトールがスポンサーだった時、某今泉刑事が「これは体にいいんですよ!」とかわざわざ口にしたシーンが印象に残っている方も少なくはないはず。(あと、「サ〇エさん」で車の宣伝やり過ぎちゃって炎上しちゃった黒歴史も……)
スポンサーの存在は物語にも大きな影響を与える。いわゆる「大人の事情」によって振り回されてしまう作中人物たちの運命。
これは映画「ラヂオの時間」や「カメラを止めるな!」にも通ずる楽しさ。
スポンサーありきで進む物語。だが、スポンサーを大事にするのは、彼らが「金」を出している時だけ。
突如出現する、強烈な手のひら返し。それはまさしくドリルの如き! 男のロマン!!
エゴ! まさにエゴ! ここには金の亡者がいる! 汚い大人の事情がある!!!
ここでしか味わえない新感覚小説、とくとご覧あれ!
(提供:ギンギン・バーガー)
短編の名手、SB亭moya さんの新作が完結致しました。
とても斬新なアイデアに溢れた好編でした。
この小説にはスポンサーがついています。ハンバーガーチェーンや、携帯電話会社や、24時間スポーツジムなどです。
登場人物の刑事二人は、難しい殺人事件の解明に挑んでいきますが、自らをWEB小説にしてくれたスポンサーのために、毎回毎回、一生懸命販促活動を繰り返します。
しかし、それが少しずつ彼らの足を引っ張り、いつの間にか感謝の姿勢が変容していくのです。
そのからくりに読者は少しずつ絡め取られ、販促アピールの都度、ムフフと声を漏らすことになるでしょう。
モヤさんの新境地。全く見たことのない実験的小説。
面白いのは間違いありません。みなさまもどうぞ。