春の三分

僕が子供の頃、町の中には子供がたくさんいて、いつもどこかで誰かが何かをして遊んでいました。ゲーム機はあったけど、それでも外で遊ぶ子が多かったです。

それなりの田舎町で、僕は自転車が大好きで行動範囲は広く、友達が見つけた面白い場所で遊んでいました。今では危険だとNGかもしれないけど、道路の下を通っている川を探検して謎のトンネルを冒険したり、製紙会社の廃材を捨てている場所でドロドロになった廃材の海を横断しようとして沈み死にかけたり、河の中に入り上流の何処まで行けるのか流れに逆らい歩き倒したり、海に行き引き潮で柔らかい場所を満ち潮になる前にどこまで掘れるか掘ってみたり、自然の中で色々と遊んでいま…続きを読む

とにかくラストの描写が素晴らしいです！！

破壊と再生と、生命の力強さを
短い物語の中にぎゅーっと詰まっており

だからこそ、最後の感動が波のようにおしよせ、気がついたら涙している読者は多いのではないでしょうか

語り手は、スミレの精、チューリップの精、ハナカイドウの精。
見守るものは……、三分間の春の奇跡、です。

ファンタジックでありながら、目線は、生命の芽吹く春の風景、とても身近に共感できるものです。

生命の素晴らしさに、読者も、すっ、と目をむけることができます。
春にふさわしい、素晴らしいショートですよ！

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（563文字）

生いのぼり芽吹く花のように沸き起こる春。
その限られた伊吹の中で、さらにサナギから蝶へと変わりゆく特別な三分間にフォーカスした物語です。
まるで、スローモーションを見ているかのような流れる筆致が絶妙で、瞬きを忘れるよう。
大地に繋がれながらも堪え忍ぶ殻を破り、自由の空へと孤高に羽ひらく三分間に、季節の連綿たる凝縮を宿した結実を感じます。
未来へと向かう花ひらくような美しさ。
この瞬間に立ち会えたこと。その幸せもまた、ひとえに春の醍醐味なのかもしれませんね。