第2話 風が運ぶもの



 外に干した洗濯物が風に揺れている

もう直ぐ短い雨が降るかもしれない

だからと言って慌てることもない

ゆっくりと窓から離れ

少し暗くなり出した空を眺め

まだ乾いていないかもしれないと

それでも雨に濡れぬようにと

部屋の中に入れて眺めていれば

雨音が聞こえ出す


 春の雨は風と共にやって来る

強い風が吹けば雨になり

少し大地を濡らしたなら

また風が運び去る


 雲は流れ

山を越え谷を越え民家の屋根を越え

野に咲く花を育て

広い海まで旅をする


 暫し続く雨音を聴きながら

洗濯物が乾くまでの間だけ

心を弄んでみる楽しくも可笑しい時間

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る