概要
メスの蝉は鳴くことなく、身を震わせている。
部活をサボって、美術室に行った。そこには、青い空の絵を描いている後輩がいた。
先輩と後輩の、ある夏の、一枚の絵を完成させるまでの物語。
※全20話です
※約55000字、完結済
先輩と後輩の、ある夏の、一枚の絵を完成させるまでの物語。
※全20話です
※約55000字、完結済
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!鳴くことのない蝉の声が、耳鳴りのように聞こえてくる。
この物語は、蝉という言葉が印象的に使われている。蝉は雄しか鳴かず、雌は鳴くことはない。
雄が鳴くのは雌にアプローチする為だ。次の世代へと繋げる為の行動でもある。
では、それが出来ない私達は?
そう問われているような物語だった。
聞こえる筈のない雌の蝉の鳴き声。
それは彼女達の内なる叫びなのだと思う。かといって同性の恋愛を悲惨に書いているわけではない。
主人公が部活をサボったことから始まる後輩との交流は、まるで透明な積み重ねだと思った。透き通った水面を通して彼女達を見守っているような心地になる。
水面に反射した光は彼女達のいる部室をゆらゆらと照らす。静かで心地よいやり取りの奥には決して聞こえる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!蝉のように、ないて叫べばわたしのもとへ来てくれたのだろうか
後輩の女の子が描いていたのは、キャンバスいっぱいに広がる真っ青な夏の空だった。
「完成したその絵を見せてほしい」
青空の絵に魅了された先輩と、後輩が交わした約束から始まった女子高生の恋の物語です。百合です。念の為。
「先輩が好きだといった、プールの底から見えている空を描きたい」
後輩が願ったとても難しそうなこの題材。ふたりはどう取り組んで完成させるのか。まずそこを気になるポイントとして読んでいたのですが。
私は間違ってた。いやまあポイントはそこにもあるんですけど。でもそこだけじゃなかった……!!
蝉、蝉、蝉。
何度も登場し、タイトルにも使われている虫です。1週間だけ地上に…続きを読む