この世界の龍は、体が硝子でできており透明。彼らは大切なものを食べ続け、お腹が満ちると終の棲家で死を迎え、宝の山となります。
宛虹という名の龍がある日、水上の都、水遊苑を訪れるところから物語は始まります。
世界観が何より美しいです。様々な宝物を腹に蓄えた透明な龍が空を飛ぶ。龍が喉を震わせれば鈴の音のような音が響く。
随所に、このような美しい描写が見られます。
文章も丁寧で、気づけば物語の世界に引き込まれていました。
タグに「切ない」とありますが、その「切なさ」でさえ美しく感じました。
結末も暗いだけではなく、明るい光が差し込んでくるような終わり方です。
ぜひ、最後まで読んでいただきたいです。