誰かの手違いが、人生を大きく変えることがある。
マリアンヌは、家の都合で縁談を諦めていました。
ところがある日、突然舞い込んできた結婚話。
相手は辺境の地を治める新興貴族、バンクエイム伯爵家。
王都を離れた先で待っていたのは、格式ばった貴族社会とは違う、温かい人々と活気ある街。
夫となるルーズモドもまた、大柄で朴訥ながらも誠実な人柄で、彼女を思いやります。
そして、いつしかマリアンヌは、自分の知識と才覚を活かして、この地での役割を果たすようになっていきます。
やがて彼女は、驚くべき真実を知ることになります。
けれど、その「間違い」がもたらしたものは、決して不幸ではありませんでした。
手違いから始まった縁が、かけがえのない未来へとつながっていく――そんな奇跡が、穏やかで温かな筆致で綴られています。