目立つことを嫌い、誰からも期待されずに過ごしていた主人公は、ある日、人間が抱える「影」を喰らう黒猫「カゲ」と出会う──という導入から始まる本作品は、まさしく人の心の影の部分をテーマにしている
「影」という存在を可視化し、それを否定するのではなく、乗り越えるのでもなく、ただ受け入れる
何故なら「影」は、その人が生きてきた歴史そのものでもあるからだ
自分の過去、心の闇、つらい思い出、強迫観念──それら曖昧な概念をまとめて「影」と称し、物語として解決に導いていく作者の手腕は圧巻
現実は、物語ほどわかりやすくはない
けれど、「自分の影を受け入れてもいいんだ」という強烈なメッセージは受け取った
このように、テーマ性、メッセージ性の強い本作、一読してみてはいかがだろう
面白さは保証する
※利用停止措置を受けたため、本レビューは再投稿となります
影喰いという独特なテーマに、まず心を掴まれました。黒猫のカゲの存在感は圧倒的で、その辛辣なユーモアと謎めいた雰囲気に、一気に物語の世界観へ引き込まれました。
主人公の、日常の中で多くの人が感じたことのある「自分はこの場に必要ないのでは」という感覚を見事に体現していて共感せずにはいられません。
さらに、影を「喰う」という行為がただのファンタジーではなく、心の重荷を軽くするような寓話的な側面を持っている点に深みを感じます。
一章を読み終えた今、カゲの正体や影喰いの本当の代償が何なのか、ますます興味が湧いています。そして、航が自分の影とどう向き合っていくのかという成長の予感が、これからの展開への期待を大きく膨らませました。
第二章への期待
航の「影喰い」の力がどのように彼の日常や人間関係に影響を及ぼしていくのか、特に期待しています。陽菜という彼女の明るさの裏に隠された影や、航との対比がどんなドラマを生むのかが楽しみです。また、航自身が「影喰い」によってどのように変わり、成長していくのか
――それがテーマの核心になりそうで、一読者として目が離せません。
さらに、影というテーマが現実世界の心理的な葛藤と巧みにリンクしているため、今後の展開がより感情的で深いものになることを期待しています。