かくて少女は“なぎなた”と出会った。
- ★★★ Excellent!!!
部活動が義務な中学校への進学を控えた藤野祐希(ふじのゆうき)。ぽやっとしていて運動にも自信がない彼女だったが、幼なじみの勧誘をきっかけになぎなた競技を試してみることに。必要に迫られただけの選択だった、そのはずが……彼女は薙刀道へ強く惹かれ、選手となることを決める。
見どころはなんといっても祐希さん。そう、主人公なのですよ。
まず、この作品は九州弁使いのおっとりボクっ娘たる彼女の一人称で進みます。初めてなぎなた競技を目にしたときめき、防具をつけての練習で味わった痛み、うまくできなかったもやもや感、その瞬間でなければ感じられない心情が、彼女の人柄を映したやわらかくて素直な言葉で綴られていく様も味わい深い、のですが!
これまで知らなかった競技と自分の熱い気持ちを知って、強くなりたいと踏み出す祐希さん――おっとりから凜然へと進化するその様、本当に瑞々しくてかっこいいのです。
なぎなた競技の魅力も満載な少女成長劇、本当におもしろいですよ!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋剛)