コスプレな二人
学校内で有名な美少女二人に腕を引っ張られながら下校すれば、まぁ注目も浴びてしまうもので。
いたたまれない気持ちやら、嬉しいやらの気持ちが入り混ざりながら、ようやく我が家へ帰宅。
今日は、昨日の続きで綾瀬からオススメされたアニメを観ることに。
いつも通りの放課後。のんびりだらだらお菓子を食べながら食い入るようにアニメを視聴するだけ。
ただ、今日はメンバーが一人増えたため、もしかしたらいつもとは違うちょっぴり刺激的な時間を味わうのかもしれない―――
「じゃじゃーん! 見て見て、ナース服!」
「……バニー、似合う?」
……いや、今日はいつもとは雲泥の差ぐらい違う、刺激的な時間になるかもしれない。
「何故、その格好に着替えた……ッ!」
見慣れた学生服なら問題はないだろう。
しかしながら、どうだろうか? 確実に日常生活では滅多にお目にかかれない服装が、視界に映っている。
綾瀬はナース服だし。しっかりとミニなスカートなナース服で、胸元かなり際どいし。
東堂はバニーガールだし。あみあみなタイツをちゃんと履いた目のやり場に困る。
もちろん、眼福なのは眼福だ。
一応男の端くれとして、このような刺激的なコスプレを見て嬉しく思わないわけがない。
ただ、考えてみてほしいのだ。
同じ空間に、邪魔する余計なギャラリーはおらず、理性を保たなければならないこの状況に、果たして男は我慢できるというのかッッッ!!!
「えー、似合ってないの? もしかして、ちょっとえっちすぎていっくんてきには我慢できなさそうなのかにゃー?」
蠱惑的で、小悪魔的ないたずらっぽい笑みを浮かべて、綾瀬は俺の肩を叩く。
それを受けて―――
「あぁ、我慢できないッ!」
「……ふぇっ!?」
正直に、俺の胸の内を言い放った。
すると予想外の返事だったのか、綾瀬は顔をこれでもかと真っ赤にしてたじろぎ始める。
「そ、そんな……え、嘘……マジで、いっくんその気になっちゃったんですか……!?」
「あぁ、その気になった」
グッ、と。俺は我慢し切れないこの想いを伝えるために、顔を近づける。
すると、どんどん綾瀬の顔が真っ赤に染まり、瞳も泳ぎ続けた。
しかし、ここまでされたのなら俺だって容赦する気はない。
「私としてはやぶさかではないんだけどもッ!? で、でもねいっくん……私から誘った身ではあるけど、まだ心の準備が───」
「お二人の写真を、どうか一枚……ッ!」
「……なんかね、すっごい「だと思った」感だよ」
コスプレしている綾瀬という美少女と東堂という美少女。これは是が非でも写真に収めたい。
「はぁ……いっくんに意識させるまでの道のりは長そうだなぁ」
「……佐久間は困ったさん」
「いいぞ、もっと言ってやれ!」
そうは言いながらも、二人は寄ってピースサインを向けてくれる。とても嬉しい。
「っていうか、なんでハロウィン先取りのコスプレなんてしてるんだ?」
小顔ポーズ、ギャルポーズ、なんてサービスまで魅せてくれたあと、ふと綾瀬に尋ねる。
「うん、なんか友達に聞いたら「童貞はとりあえずコスプレして立っときゃ勝ち」って」
「今時の女子高生さんは童貞の扱い酷くないか?」
というより、それを貸してくれた友達はどこの童貞に何をするつもりだったのだろうか? 正直、少し友達付き合いを見直した方がいいと思わざるを得ない。
「……流石にバニーは初めて。なんかスースーする」
「いや、流石に今時の売れっ子さんに着させんだろ……」
「激しいバラエティでも、そんな格好させないよ」
「……確実に炎上する」
編み込みのタイツが珍しいのか、何やら伸ばしたりして弄り始めた。
そのおかげで、太ももにやけに視線が引き寄せられて……正直、目のやり場に困る。
「まぁ、確かにここまで際どいのなんてハロウィンでも着ないよねぇ」
今度は、綾瀬が開いた胸元を覗き込み始める。
極端に大きいわけでもないが、小さいわけでもない。
だからこそ、胸元を指で引っ張ると谷間が視界に入ってどうすればいいか分からなくなる。
(……さっきは写真でなんとか誤魔化したが)
冷静になると、この空間は本当に危ないような気がする。
何せ、ただの女の子ではない。自他共に認める美少女達だ。
その二人がこんな際どい格好をしているとなると───
(友達にそんな目を向けるわけにもいかんし……)
どうにかして、刺激的な今日を平静で乗り切らなくては。
なんてことを思いながら、俺は綾瀬から借りたブルーレイをセットするためにテレビへと向かう。
すると、おもむろに東堂が近づいてきて、
「……友達にそんな目を向けるわけにもいかんし、ってどういうこと?」
この子が男の味を知らない純粋さんで本当によかった、と思った。
「ふふふ……お嬢さん、そういうのは黙っておくべきだよふふふ」
「え、なんの話?」
「……えーっと───」
「おーっとお嬢さん! バニーの世迷言は言わせないよお口チャックッッッ!!!」
絶対に言わせるわけにはいかない。
俺は必死に、口を開こうとする東堂の口を押さえにかかった。
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