概要
ギャルに限界なんてねーからっ!
一葉(いちは)はクラスメイトの燈香(ともか)にペアを組んでボルダリングペアの大会に出ようと持ち掛けられる。ボルダリングペアとは、登る役と指示を出す役に分かれて、協力して頂上を目指す新しいボルダリング競技だ。一葉は燈香のことを好いており、ペアを組みたい気持ちはあった。しかし、持病の件で表舞台に立つことにためらいのある一葉は素直に承諾できなかった。その後、親友の藍人(あいと)に背中を押されて燈香とペアを組むことを決断。目標は日本一のペアである、昇乃(しょうの)・八馬堕(やまだ)ペアに勝つことだ。
将棋で培った読みの能力と部活で手に入れたドローンの操縦スキルをボルダリングのオブザベーションに発揮し、二人はルーキーでありながらも快進撃を続ける。
雑誌に載るほど有名な選手の九度雨(くどう)・水機
将棋で培った読みの能力と部活で手に入れたドローンの操縦スキルをボルダリングのオブザベーションに発揮し、二人はルーキーでありながらも快進撃を続ける。
雑誌に載るほど有名な選手の九度雨(くどう)・水機
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!迷って泣いてる暇はない。道は自分で探す。
ボルダリングは少し奇妙なところがあるスポーツです。壁を上まで登ればいいことは決まっていますが、途中の経路が指定されていません。というより足を掛けたり掴んだりする器具「ホールド」を選ぶ選択眼が技術の一つとなるように競技のルールが設計されています。
そこに経路選択を助言するオブザーバー、ラリーなどの自動車競技で言えばナビゲーターにあたる人物を加えると、どうなるか?
道を選ぶ人を、選ぶ。その選択眼が問われます。オブザーバーを選んだ時点で競技中に選べる道が決まります。どのような人を選ぶか。信頼するか。その眼が問われます。
出場選手はいずれも重い過去を抱えています。それは心中に傷として残っていま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!陰と陽と王道とが織り成す、快作小説
レビュータイトルがなんだか陰陽師とか出てくるファンタジー小説か……って感じですが、この小説は現代舞台のスポーツ青春物。
陰とは一葉くんのこと、陽とはギャルの燈香さんを短絡的に喩えたものです。
陰キャ陽キャという言葉が流行り、定着して久しいですが、この小説の主人公2人は一面的に見ればそのように分類される、真逆の性質を持っています。
しかし、物語が進むにつれ、2人はそういう表層的な部分を越えて、一対一の人間同士としての信頼を深めていく。
それを物語として描写するのに、本作がこの競技を選んだことはまさに百点満点なのではないかと思います。
そして、一番大事な点ですが……ストレートに面白い!…続きを読む