重厚な世界観で紡がれる中華ファンタジーバディ作品!!
- ★★★ Excellent!!!
高い文章力に裏打ちされた、壮大な世界観を持つ中華ファンタジー作品です。
クールでなにを考えているのかあまり表に出さない主人公 蚩尤(しゆう)と、彼の配下にして相棒である雷堂のふたりが中心となって進行していくバディものです。
序盤はふたりが官吏の試験に挑むくだりが展開されますが、物語の本番はそのあとから。
国の各地で発生している、身体が腐っていくという黒い病。それを奇跡の力で治すという天上聖母。そして黒い病を治せるという薬の存在。それぞれの調査に赴く蚩尤(しゆう)と雷堂ですが、なにか大きな陰謀の匂いが漂ってくるのです……。
物語の展開もさることながら、本作の魅力には登場人物の描写にあります。
それぞれの立場、考え、関係性が丁寧に描かれております。
私の好きな登場人物は、調査を進める蚩尤(しゆう)と雷堂が出会う、騶潤(すうじゅん)という中年男性です。
初登場の印象は、どこか胡散臭い感じなのですが……読み進めていくとこの人物の優しさというか人間臭さが心地よく感じられるのです。主人公らが高い身分であることもあり、あまり庶民的ではなく、特に主人公 蚩尤(しゆう)がどこか浮世離れしている分、この騶潤(すうじゅん)の小市民感がたまりません。
番外編にて主役を務めたりもしますが、これで私はますます好きになりました。
本作は第一編の終了とともに一旦完結という形になっておりますが、続きを書いていただける予定もあるようなので楽しみです。
重厚な世界観を持った中華ファンタジーがお望みならば、本作をぜひご一読くださいませ!