第23話 その後。
ご無沙汰しております、月猫です。
誤薬をしてからというもの、胸の中に「恐怖の塊」ができてしまい、半泣き状態で仕事をしていました。そして、この状態が長く続くようなら、この仕事はもうできないだろうと娘にも相談していたのです。
ところがです。
驚くことが起きました。
私は、服薬介助をするとき「怖いので、○○さんのところに行くまで見ていてもらえませんか?」と、先輩に声をかけました。
今までの私なら、そんなことを言えなかったと思います。
でも服薬は、命に関わることです。もう二度と同じ失敗はできません。だから、素直に助けを求めたのです。
怖がっている私の様子を見て、先輩方はしっかりと私の行き先を見届けて下さいました。一人の先輩は、夜勤が終わって帰る時間なのに、服薬が終わるまでずっと廊下で私の様子を見ていてくれました。
こうして、先輩方のおかげで私の中にあった「恐怖の塊」が小さくなっていったのです。こんなにいい職場を辞めようとしていたなんて、私ってバカだなぁと思いました。
介護は命に関わる仕事です。
だからこそ、チームで頑張るんです。
一人じゃない。
そう、みんなで支えあって仕事をする。
苦しいことも、辛いことも、喜びも、楽しさも……
介護の仕事は奥が深くて、この仕事を始めて二年目の私は、いつも壁にぶつかってばかり。でも、無表情でいることの多いおばあちゃまがにっこり微笑んでくれると、『やったー! 笑顔にできた‼』って、すっごくやりがいを感じてしまうのです。
伸びた爪を切っている時に感じる、あの心地よい空気。男性利用者さんは、ちょっぴり照れながら、でも爪を切ってもらう嬉しさが、はにかんだ笑顔で伝わってきます。
今日は、頼れる先輩が物凄く伸びていた眉毛をカットしている様子を見て、私も真似っこ。
「おおー、男前になったね!」と、おおはしゃぎしてきました。
介護の仕事から得られるものは、本当に大きな宝物ばかり。くじけそうになった経験も然り。
「介護の仕事は大変だけど、楽しいよ!」って言ってくれる介護士さんが、たくさん増えてくれたらいいなと思います。
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