肥満禁止法

大嶺剛史が大きなキーパーソンとなり、物語を進めていく。
彼ら、彼女らは太っていて、ダイエットのためにプログラムを受ける――が、そこで起きたこととは。
更紗さん、未来さん、様々な人が愛やダイエットという困難を乗り越えて、ほのぼの楽しく減量していく…………わけでもなく。
後半はスパイスのきいたドキドキな展開でした。
面白かったです。★が三つまでなのが悔やまれる(T-T)

太っていることは悪いことか？
肥満は大病の元、と返されれば、頷くしかない。
悪法もまた法なり、と述べられれば、法律は法律で守るべきである。
とはいえ、世の中、万人が賛同するわけでも、賞賛するわけでもない。
好き好んでなったわけでなくとも、そうでない者からすれば怠惰だと謗るのが現実。
何より、いくら法を定めようと、人の心まで定められぬこと。
健康であれ、と善意で法が生まれたとしても、性急さがあるのは否めず、何より人間、そう簡単に痩せられるものではない。
マラソンのタイムをゼロコンマ縮めるのに１年かかるように、体重を一キログラム落とすだけでどれほどかかるか。
仮に今痩せたとしても、急激落とした反…続きを読む

私も巻き込まれそうだ～。
肥満が許されない日本で、該当者は強制的に集められて、離島でダイエット……。
ぱっと聞いた感じですと、「え、痩せるの手伝ってもらえるの？」って感じですが、ポイントは離島ってところ。
密室です。ミステリーやホラーサスペンスにつきものの密室。
離島に隔離されたメンバーたちに襲い掛かるのは、過酷なダイエットの恐怖……ではなく、殺人鬼！？
それぞれに事情を抱え集まったメンバーたち。喧嘩あり、ロマンスあり。この島を無事抜け出せるのか？
最後まで目が離せない展開です！

肥満が医療費の増大などを招くとして『肥満禁止法』という法律が施行された近未来。
BMI30以上の国民から無作為に選ばれた男女が、トレーナーと一緒に無人島へ強制ダイエット合宿に行くことに……。

ダイエットに前向きな者、痩せる必要などないと思っている者、そもそも政策に反対の者……。

見ず知らずの一行にまとまりがあるはずがなく、さらには、そこに不穏分子がひとり紛れ込んだことで、健康に痩せるための合宿は……。

不穏な雰囲気を漂わせる合宿は、一度日常が崩壊すれば、坂道を転がり落ちるごとく、阿鼻叫喚の地獄へとまっしぐらに。

ホラーでありながら、ラストの読後感はさわやかです。

すでに完結済ですの…続きを読む

ハラハラハラ。
自分も船に乗ってあの島に行ってしまった気持ちに……。（該当者w）
人生いろいろ太った原因や、過程も色々。壮絶な人間ドラマ、ホラーを見せられてしまいました。
最後の一文、ゾッとしましたよ……こんな酷いことあったんだからこそ、やめて……やめて……

最初は、ダイエットの話だと紹介されました。作中の人物にも、読者にも。

しかし本作はホラーです。次第に変質します。

露わになるのは各人の身体ではなく心の内。

人の心は重いです。体重よりも重いです。体重がちょっと増えて「肥満だ！」と非難されたくらいでは関係は逆転しませんでした。

読み進めるほど心理戦に息が詰まります。もう運動や食事制限は頭の中から消えて、登場人物の容姿も忘れるほどに。

そして重要な裏のテーマを含んでいます。食事は、脳神経の病気ではなく人間関係のストレスから生じた心の不調に対して、体重を犠牲にして全てを解決する特効薬であること。人類は食事を超える薬を作れなかった現実が見え…続きを読む

『肥満禁止法』が導入された、少し未来の日本。
太りすぎはよくないということで、BMIが高い人はダイエット合宿に強制参加させられ、痩せなければいけないという独特な世界観の本作。

肥満体型の男女数人が連れてこられたのは、矯正島と呼ばれる島で、合宿が終わるまで迎えの船は来ない。
こうして、脱出不可能なダイエットが始まりました。

集められた人たちが島に閉じ込められて出られないなんて、ミステリーものであるようなシチュエーション。
そう思って読み進めていたら……やっぱり事件が起きましたよ！
そうですよね。脱出不可能な島に閉じ込められて、何事もなく終わるはずありませんね。

ダイエットに来たはずなのに…続きを読む

みなさん、体重って気にされていますか？　太りすぎは体によくないってこと、もちろん知っていますよね。
本作は、BMI30以上の肥満と判断された人たちがとある島での合宿によって痩せるというお話。
と言っても、ダイエットする当人たちは、自ら望んで参加するわけではありません。というのもこのダイエット合宿、肥満禁止法という法律の下、強制的に行われるのです。
いやいや、いくら太り過ぎはよくないからって、無理やり島に連れていかれてダイエット合宿なんて無茶だよ。こっちには普段の生活だってあるんだよ。なんて文句は、お上には通用しません。どれだけ不満があっても拒否することは許されないのです。
そうして島に集めら…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（669文字）

　肥満防止法を設定したのは民慧党。この党の名を聞いて、別の物語を連想したあなた、すでに無雲マジックに侵されています。

　そう、あの悪名高き、大豆生田賢治内閣の民慧党です。昨年のカクコン９で最熱狂賞を獲得した『老害対策法』を制定した党です。

　今年もやってくれました。

　その法案は『肥満防止法』
　BMI３０以上で健康状態に大きな問題がない人間は強制的に無人島でのダイエット合宿に参加する事になるんです。

　いや、結構したいかも、その合宿。

　そして、密室となった無人島で起きる殺人事件。

　え、ダイエットじゃないの。ミステリーなの？

　そうです、この作品はダイエットに名を借りたミス…続きを読む