春休み、祖母が営む民宿で手伝いをしていた六花。
民宿の近くの海辺でポスターの撮影をしていたスタッフが拾ったのは、瓶に入ったラピスラズリ。
ひょんなことからポスターのモデルをしていたのが、同級生の葉桐と知った六花は、彼からラピスラズリの小瓶を渡される。
「これを、あの砂浜に戻してくれないか」と。
小瓶を受け取ってから、六花の身に起こる不可解な出来事。
捨てても捨てても、舞い戻ってくる小瓶。
そして――。
青春×ホラー×恋愛と色々な要素が盛りだくさんで、とても贅沢な作品です!
大事に大事に、ちょっとずつ楽しもうと思っていたのに……気がつくと、続きが気になって気になって、後半は一気読みでした!!(≧▽≦)
これはもう、武州様マジックですねっ!!( ・`д・´)⁺
恋愛物が好みの方は大満足、ホラーが苦手な方でも読めてしまう!(でも、私は何度もコメント欄で叫びました……(><))
一粒で何度でも美味しい大満足できる良作、ぜひ、ご一読あれ!(*´▽`*)
(このレビューのタイトルに特に意味はありません)
いろいろと騙されっぱなしだった気がする。
ヒロインですね。まさにホラー映画に出てくるヒロインって感じで回顧的な間がね、あるんですよね。そうそう、そんなこともあったね、あれは確か……
みたいなね。
かわいいんですけどね。たまにちょっと臭うんですけど、なんか特別な存在というかね。一度見ると忘れようにも忘れられない存在というか。
上手く説明できないんですけど、素直じゃない中にもいろんな表情があるというか、一般的じゃない特別な雰囲気を醸し出してるんですよね、彼女。
確かに二股かけたりとか、許せないところはあるんですけど、それも含めて愛せるというか。ええ、もちろんここ出たら会いに行きますよ。俺のですから。
恋と青春を、何度も行き来するホラー小説。十代特有の身勝手な視点、学校が世の全てだと思い込んでしまいがちな窮屈さ、そして恋。ホラーを全く感じさせない冒頭こそジャンルを疑いますが、この苦いリアルな青春も、ホラーシーンへの寄り道では無く立派な『味』。爽やかさと苦々しさ、そして恐怖とを何度も行き来するこの身軽さこそが、この作品の最大の特徴であり武器なのです。
青春からホラーへ、恋からホラーへと舞台を変えるその瞬間の手際が、何と鮮やかな事か。ほんの何気無い一文で、がらりと空気が変わります。ホラー小説と名乗るだけに、その迫力は背筋が凍るのただ一言。
キャッチコピーの、「漂着物は、容易に拾ってはいけない」という言葉の意味は。主人公を襲う怪異の正体は。そして本当に恐ろしいのは、怪異か、生きている人間か――。忘れてはならない、青春小説とホラー小説の顔を持つこの作品が迎える、もう一つのラスト、主人公の恋の結末からも、目が離せません。
ホラー好きな方は勿論、青春小説が好きな方にも大満足なこの作品、読まずに置いておくには勿体無い!
是非皆様も、ご一読。
「ああー、もっと早めに読めばよかったー」
今までホラーという言葉に気圧され、読まずにいたこの物語。
だけどこの作品は……もう、ちょっとエクサイティングしすぎてまとまらない。ので、ナンバリングでこの作品の魅力をつまむ程度に綴ろうと思います。まる。
①甘酸っぱい恋愛
どうしよーもなく甘酸っぱい!!
すごく甘酸っぱい!!
じれったさというかもどかしさというか、木苺食べたような感じなのは私だけですか?
『前髪長くてメガネをかけた一見地味男子が実はイケメェン』だということに思わず少女漫画風にヒーローの立ち絵を描いたのは私だけですか?
迫るヒーローに対して、顔を真っ赤にする剣道少女を想像して駅のホームで意味もなく右往左往したのは私だけですか?
二人の絡みの話を何度も読み返してしまったのは私だけですか⁉
……皆様、ご感想をお聞かせください(←お前の小説じゃないだろう)
②正体がわからないホラーと、正体を探るミステリー
この作品はホラーですが、実はミステリー要素も含んでいます。なのであまり言うとネタバレになります。
恐怖を抱きつつ、ハッキリとその正体を確かめてください。
③素敵な人たち、やさしい人たち
たしかに恐怖のただなかにいるのに、いつだって主人公のそばにやさしい人たちがいます。押しつけがましくもなく、かといって主人公を常に気にかけていて、寄り添うようにそばにいます。いざという時には物理的に強い人たちもいます。
何より、主人公もヒーローも、誰かを常に気にかけ、どんな時でも思いやりを忘れません。この二人の、恐怖だろうがどんなものでも自分の糧にしていく前向きさが、この作品の大きな魅力といえるでしょう。
すべてを読み終えた時、きっと素敵なものを手に入れられるはず。そんな物語です。
最後に一つ。
私の一番好きなキャラクターは、主人公のお母さまですw
ジャンルはホラーですけど、少々ホラーが苦手な自分でも一気に読めました。
高校生男女の恋愛に絡むホラーなストーリー。
ただし最初にホラーと思っていた部分は、実は物悲しくも心温まるストーリーで、そうではない部分が人の闇を写したホラーな展開になっています。
そしていつもながら感銘を受けるのが作者様の文章のリズム、軽快に進むストーリー、本当に素晴らしいです。先へ先へと読み手の心をくすぐる筆力、本当に羨ましい限りです!
ホラーはちょっと……、と思われる方でも読み始めると最後まで読まずにはいられないと思いますよ、是非ご一読下さい。
さて、自分も幸せになりたいので今度浜辺にラピスラズリを探しに行ってきますW
拾ってはいけない、"漂着物"を預かってしまった少女。
そこから彼女は見知らぬ男の子に憑かれてしまう。
恐怖に怯えながら過ごす日常。その中で摩耗してゆく心と育まれてゆく絆。
その押しつぶされそうな、でも大切な日々の中にさえ、新たな恐怖が萌芽してゆく…
完結してからレビューを。と考えていましたが、耐えられませんでした。
男の子は怖いのに、日常もあって。女子高生の学校生活はしがらみが濃くて大変で。
でも、大事な関係もあって、新しい想いも生まれて、悩んで。
それなのに、また…
女の子の日常を波状に襲う恐怖たち。その緩急が、より恐ろしさ、おぞましさを加速してゆくのです。
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」
あなたが深淵をのぞき、深淵に克てるのであれば、ぜひお読みください。
若い日常を背景に活写される主人公たちは、読みやすく、無駄なく描かれ、すぐに作品世界に引き込んでくれます。
漂流神信仰をバックボーンに語られるお話は、第二章から大きくうねり始め、後は一気呵成にラストまで運んでくれるでしょう。
水はホラーと相性の良い定番の素材ですが、達者な作者の筆致で存分に威力を発揮しており、その怖さを是非作中で味わってください。
ただ、怖いだけが、この作品の良さではありません。
微妙な距離感の主人公と葉桐、引っ掻き回してくれる級友ら、高校生たちの揺らぐ心情が瑞々しく微笑ましい。
そう、その明るい若さが、そして、きっちり堪能させる恋愛描写があるからこそ、恐怖もまた引き立つのです。
潮の香りが漂うこのホラー、忍び寄るのは青。
しかし、本当に恐ろしいのは――
序盤はかなりライトに平穏な少女の日常が描かれていて「ホラーにしてはのほほんとしてるなぁ」と思いつつ、少女の恋愛や生活に着目しながら読み進めてゆくと、いつのまにか潮が満ちていたかのように少女は謎と悪意にどっぷり浸っている。それに気がついた時にはもう先が気になって仕方がない。
この作品は海や水がメインのイメージとしてあるのだが、もしそれを物語の展開で表現したのであれば作者は天才だと言わざるを得ない。私もまた少女と同じように作者が作り出す物語の海に囚われてしまったのだ。
ジャパニーズホラーのキレの良い霊的な恐怖と、ミザリーやエスターなどの人間のリアルな怖さが融合した本作は、ホラー好きな私としては実に先の気になる作品である。
余談だが、ラピスラズリの語感は焼き砂ズリに似ている