千崎 翔鶴

訳ありなお客様のためのドレスを、今日も妖精と作りましょう――どうですか、これだけでわくわくしませんか。 これは、開国後間もない日本。異国のものが入ってきた、流れるように変わっていく…続きを読む

昨今パワハラだなんだと取り沙汰されるようになりましたが、この作品の主人公もまた、そのパワハラが原因で会社を辞めました。 けれど、神様は見ているもの。心から願う人間を、見捨てたりはし…続きを読む

主人公は木こりです。もう一度言います、木こりです。だから、装備は斧なのです。でもこれ以外の武器はないと言うほど、似合いであるのだと思います。 さて、これぞファンタジーと言うべき要素…続きを読む

この物語は、異形のいる世界での出来事である。主人公の陸奥は異形と出会い、アサヒと出会い、考え、進み、そして最後には彼なりの答えを導き出す。 最初から最後まで、積み重ねられていくのは…続きを読む

マリオネット、操り人形。では断ち切るべき『いと』とは何か。 物語は過去から始まり、そして現在へと続いていく。過去にあったことの上に、今があるからだ。 女王は精霊の声を聞く。精霊の…続きを読む

かつて、二人で聖女になることを目指した。 けれど、その道は分かたれた。 だからこそ彼女は追いかける、再びその手が彼女に届くまで。 片や聖女教会を脱走した者。 片や大聖女になった者…続きを読む

ここには、人が生きている。白い白い中で、人が生きている。 祝い呪いは氏子のみ。この言葉をどうか胸に刻んで読んでいただきたい。 主人公として置かれているのは高久匡という軍人である。…続きを読む

私もなりたい。 声を大にして言おう。私もなりたい。 人間というのはどうしたって、中身は見えない訳ですから。判断するのは外見でしょう。 だからこそ！ だからこそ、なりたいものがある…続きを読む

かつて祖母が語った「琴線に触れる」という言葉。その時確かに祖母と私の間には双方向の会話と認識があり、お互いがそこにいた。 けれど、認知症というものは、それを奪ってしまう。その病が誰…続きを読む

物語を通して、現実世界を思う。 「好き」という感情になんの違いがあるわけでもない。ただ、向かう先の性別が自分と違うか同じか、それだけのことで。 けれど、それしか違わないのに、当たり…続きを読む

静かな場所で、男は少女と対峙する。そして、男は語るのだ――自分の、過去を。これまでに何があったのかを。 男は悲劇の登場人物か、あるいは。 男が過去を告げ終えたとき、少女は言う。その…続きを読む

絵というものには、魅入られるものであろうか。 『オフィーリア』『夢魔』『マラーの死』『死の床にあるルイーズ・ヴェルネ』、いずれも名の知れた絵画である以外に、これらの絵にはある種の共…続きを読む

いじめられている少年の、復讐劇。それだけであれば、いじめられっ子が復讐を果たして終わる話なのだろう。 しかし、この作品は違う。そんなものは、本当に最初の最初、取り掛かりでしかないの…続きを読む

これは、見事なまでのSF的世界観と異世界ファンタジー世界観の融合だろう。どちらが変に主張するでもなく、見事に調和しているのである。 そして、主人公トリアを取り巻くキャラクターたちも…続きを読む

この作品で特筆すべきところは、作者様の豊富な知識と、そして「歌」だろう。 かつて、和歌とは神へ捧げるものであり、人と人とのコミュニケーション手段であったという。歌の上手は神をも動か…続きを読む

どう紹介しようかと考えたときに、浮かんだのは「まず、キャッチコピーが出てくるまで読んでくれ」であった。とにかくまずはそこまで読んで欲しい、全てはそこからだ。 もちろんその前もじりじ…続きを読む

まず何よりも、この二幕構成の妙を讃えたい。前半が終わり後半となり、最初はがらりと話が変わったかのように思える。 けれど、そうではないのだ。読み進めていくごとにパズルのピースがはまっ…続きを読む

人はまず、人を何で認識するだろう。人とどのよいにしてコミュニケーションをとるだろう。 多分、顔だ。けれどもし、それが失われたのなら。誰も彼もがのっぺらぼうになってしまったのなら？ …続きを読む

ある、強大な力を持つものがいたとして。 それを神か化け物かを決めるのは、人間なのかもしれない。人間のある種の身勝手さが、そう決めてしまうのかもしれない。 そこは、貴き神から授けら…続きを読む

メンズバディといえば、どんなものを思い浮かべるだろう。 この作品のバディはまさに正反対、炎と氷、そんなふたりである。そんな彼らはメメントと呼ばれる異形と人知れず戦っていた。 そして…続きを読む

寄り道は、おいしい。まず、読んでいるとお腹がすく。ああこれが食べたいな、そんなことを思う。 今日の帰りは、少し寄り道でもしてみようか。そんな風に。 ああ、これは青春だなあ。そんな…続きを読む

黒は魔物とされる世界。そんな黒い色を持つ魔物を倒そうとしたレンドールの邪魔をしたのは、相棒であり親友のエラリオだった――。 彼らは親友で相棒、その言葉の通りに互いのことをよく知って…続きを読む

青春というのは、爽やかなものという印象がある。もちろん爽やかといっても、すべて楽しいわけではなく、苦さからの爽やかさもある。 この作品は言うなれば、「The・青春」だろうか。 ま…続きを読む

人でなし。 意味としていくつか考えられる言葉である。さてではこのタイトルにある「人でなし」は。この夫婦はどのような「人でなし」であるのか？ そこについては、ぜひ読んで確かめていただ…続きを読む

主人公である彼女の名前は不破ふわり。ひらがなで書けばふわふわり。まさにふわふわの申し子たる彼女は名前の通り、ふわふわなものが大好きである。 さて、そんな彼女が見つけた次なるふわふわ…続きを読む

「サルベイション」という新興宗教――それは、解散したはずの団体だった。過去不祥事により解散したその宗教団体は、主人公である真直とは浅からぬ縁のある団体であった。 そして、そこに載っ…続きを読む

因習というものは、外から見れば禍々しくとも、内にいれば「そういうもの」となる。 初手から、ああこういうものなのだという空気感を突きつけられ、恐怖しながらも真実が知りたくなる。おそら…続きを読む

伯爵令嬢のルシアの前世は、女陰陽師である。そして今世のルシアもまた、その力と五大明王の加護を持っていた――。 そんな彼女は、「お見舞い係」である。お見舞い係というのがどのようなもの…続きを読む

まずは壮大な世界観。そして、主従でありバディであるふたり。周囲を取り巻く人々。 引きずり込んで離さない、どっぷりと浸れる中華ファンタジーがここにあります。 文章は流麗で、するりと読…続きを読む

昭和という時代を、知る人も、知らない人も。ここにある空気感をぜひ感じて欲しい。 私はその時代を知らず、平成の話になってから、ああそういえばと想起するものがあった。昭和の時代を知る人…続きを読む

置かれた場所で咲きなさいという言葉がある。 その境遇に、周囲からの目に、負けて腐り落ちるのではなく、それでもと懸命に空を見上げて光に向かって咲こうとすれば、いつかその美しさに気付い…続きを読む

ある意味で、出会いは最悪。けれどこれも列記としたボーイミーツガールである。いわゆる、お約束かもしれない。 ただしこの作品の場合はあるいは無能力者ミーツ天才、これを運命と呼ぶのだろう…続きを読む

普通の女子高生の前に、ある日物静かな転校生がやってくる。しかしこの転校生、何やら秘密があるようで……？ 吸血鬼が主軸の現代バトルファンタジーだが、独自の設定も光る本作。そして敵とな…続きを読む

明治・大正の時代は華やかであるように見えて、刻々と戦争へと向かう時代であった。そして今以上に「あるべき」という姿が口にされる時代でもあったように思う。 殊に、男は、女は。家は。そん…続きを読む

自我を持ったヒューマノイドと人間の違いは、どこにあるのだろう。 この作品は紛れもなくSFで、そしてその中で、「人とは何か」を常に問いかけているようでもあった。 人間とは、何なのだろ…続きを読む

そこは、空の上。地上から切り離されたその場所で、依頼人の思いの詰まった物と、そして地上を目指す人、それらを守るための「運び屋」がいた。 だがその空の下には、「天空鬼」という恐るべき…続きを読む

人々は、争い合う。まるでその怒りを体現するかのように、天災が襲う。 神を信じていると口で言いながら、真実それを信じている人が、一体どれほどいるのだろう。 そんな中、真っ直ぐに神を信…続きを読む

近くにいるほど、見えなくなることはある。そんな時に見る夢は、過去を手繰り寄せるためのものだったのだろうか。 すれ違いとは、いつまでも相手が見つけられない「かくれんぼ」なのかもしれま…続きを読む

眠っている間に見る夢に、どのような意味があるのだろうか。夢は良いものだけではなく、悪夢と呼ばれるものがある。 なぜ、そのような夢を見るのか。果たしてそこに意味はあるものか。 虹渡…続きを読む

姉が、死んだ。その瞬間から、彼女の運命は坂を下るようにして、転がっていく。 さて何が真実で、何が偽りであるのか。聞くべきことばは誰のものか。信じるべきは、取るべきは、どの手なのか。…続きを読む

昨今何かと耳にするのは、「多様性」ということばである。このことばで、貴方は何を思い浮かべるだろうか。 その一方で、「普通」ということばがある。このことばでは、貴方は何を思い浮かべる…続きを読む

ホラーとは何か。 怪異か、人か、迫り来るものか。あるいは――ずっとそこにあるものか。 これは、ある女より始まる。 そしてある意味では、この女が決着をつけるものである。 とかく人間…続きを読む

今年もサンタがやってきた。 セクシー！ マッチョ！ バイオレンス！ そう、今年もサンタとトナカイに休みなどないのである。 この寒い寒い季節、なんと子供たちのブリーフが盗まれた…続きを読む

蓼食う虫も好き好きという言葉がある。もちろんこの言葉は皮肉めいたものがあるものではあるが。 例えば〈花〉にとっては、誰かにとっては忌むべきものであったとしても、それを好む誰かにとっ…続きを読む

それは、決して美しいものではない。 それは、決してなまやさしいものではない。 それでもこの女には、手を伸ばしてしまうほどの、えもいわれぬ甘露のようなものがある。 この文章の中には…続きを読む

人とは、何かしらの原因で手放してしまうものがある。それは何も、形あるものに限ったものではない。 情熱であるとか、夢であるとか、そういうものだって手から離れていく、零れていく。 彼…続きを読む

時間というものは流れゆく。ある一本の桜の樹が、その流れを見つめていた。 激動の時代といえば、その通りなのだろう。その中で考えればほんの少し、それでも桜と人とが心を通わせた。 人の世…続きを読む

庭を作るのは、ひとりの庭師の女。尊大で、気位が高くて、そんな彼女のつくる庭は、幸運が舞い込むものだという。 どこか幻想的で、そして美しい花々の描写。まさにファンタジーであり、そして…続きを読む

ホラゲの悪役に転生しました！ と、これだけ書くと普通に見える。そう、確かにこれは転生なのである。 ただし、タイトルの通り……すでに、死んでいる。 転生したのに死んでいるとはこれ如何…続きを読む

これは、上質な童話だろう。 おとなも子供も心躍る、子供ならば共にわくわくして、おとなならば「いつか」を夢想する。そういうおとぎ話にも似た、懐かしさすら感じるきらめく物語だった。 …続きを読む