「今年は『Linux』デスクトップの年になる」と最初に予言したのは、筆者ではない。確かに、筆者はその予言を心から信じてきたが、最初にその予言をした人物として賞賛されるべき(あるいは、非難されるべき)なのは、Linuxカーネルの開発者であり、VerizonのOpen Source Program Office(OSPO)のシニアディレクターも務めるDirk Hohndel氏である。
Hohndel氏は、「『今年はLinuxデスクトップの年になる』と最初に予言したのは1999年のことだった」と告白している。「予言は難しい」と同氏は皮肉っぽい口調で続けた。「未来についての予言は特にそうだ。『今年はLinuxデスクトップの年になる』ではなく、『今から15年後にクライアントコンピューティングはほとんどLinuxになる』という予言をしておけばよかった。それはすでに現実になっているからだ」
現在、Linuxデスクトップの年がついに現実になりつつある。本当だ。
筆者が過去に指摘したように、Linuxはトップエンドのユーザー向けOSだという主張には、明確な根拠がある。読者は「Android」スマートフォンをお持ちだろうか。おめでとう。あなたはLinuxユーザーだ。「Chromebook」についても、同じことが言える。仕事で「Googleドキュメント」をお使いだろうか。このソフトウェアがどのOS上で動いているかご存じだろうか。そう、Linuxだ。
数字はうそをつかない
筆者は先日、ウェブ検索エンジンの人気ランキングを調べていた。しかし、米ZDNETに寄稿するEd Bott氏が先頃指摘したように、Statcounterなど、多くの人がそうしたデータを得るために使用するサイトには、深刻な問題がある。そこで、筆者の知る限りもっとも信頼できる情報源である米国連邦政府の「Digital Analytics Program」(DAP)のサイトにアクセスした。
このサイトは、米国政府のウェブサイトへの訪問数を集計、分析している。過去30日間の平均セッション数は16億回で、何百万人ものユーザーが毎日アクセスしている。つまり、DAPは、人々のウェブサイト利用に関する詳細なデータを加工せずに公開している。
DAPのデータによると、2025年には、Linuxユーザーが全訪問者の5.4%を占めていた。この割合は、筆者がこれまでに見た他の信頼できる統計データよりもはるかに大きい。
確かに、5.4%という割合はそれほど大きくないように聞こえるかもしれない。しかし、「Android」(17.6%)と「Chromebook」(2.1%)を加えると、Linuxユーザーが訪問者に占める割合は25.1%となり、「macOS」(10.1%)や「Windows 10」(14.1%)、「Windows 11」(16.2%)を上回る。これは極めて印象的だ。
別の角度から見てみよう。「Windows」ユーザー(「Windows 8.1」をいまだに使っているごく少数のユーザーと「Windows 7」を使っている0.3%のユーザーを含む)を合計すると31.7%になる。つまり、Windowsはもっともユーザー数の多いデスクトップOSである。このことに驚く人はいないだろう。
しかし、すべてのOSに目を向けると、Appleの「iOS」が33.1%で首位に立っている。実際に、ウェブトラフィックを分析している人なら誰でも知っているように、近頃では、モバイルOS(49.1%)のユーザー数はデスクトップOS(49.3%)とほぼ同じだ。2024年には、スマートフォンユーザー(53.2%)がデスクトップユーザー(45.1%)を上回っていた。
LinuxユーザーがLinuxデスクトップについて語る場合、ほとんどの人はデスクトップのことだけを考えている。これは、Windowsユーザーも同じだろう。スマートフォンのユーザーは主に「利用者(ユーザー)」であるのに対し、あらゆるOSのデスクトップユーザーは「作業者(ワーカー)」や「クリエーター」だ。これら2つの世界は大きく異なる。
Linuxデスクトップに関するDAPの数値は、統計的な異常値ではなさそうだ。2024年、Linuxデスクトップがすべてのエンドユーザー向けOSに占める割合は4.5%に達した。デスクトップに限れば、約9%である。もっとも信頼できる情報源ではないが、StatcounterもLinuxデスクトップの人気が徐々に高まっていることを示している。2025年には、Linuxのシェアは4.27%まで拡大した。これは、2024年の同時期よりも高い数値だ。
では、Linuxの人気が高まっているのは、なぜなのだろうか。それは、筆者がLinuxを勧めるときにいつも列挙する理由と同じだと思う。以下で詳しく説明しよう。