海外製作映画に100%関税、トランプ氏表明 ハリウッド衰退阻止へ

米国外で製作の映画に100%関税、トランプ氏表明
 トランプ米大統領は4日、米国外で製作される全ての映画に100%の関税を課す方針を明らかにした。写真はロサンゼルスで昨年9月撮影(2025年 ロイター/Mario Anzuoni)
[ワシントン 4日 ロイター] - トランプ米大統領は4日、米国外で製作される全ての映画に100%の関税を課す方針を明らかにした。他国が優遇措置を講じて米国の製作会社を誘致しているため、米映画産業が「急速に死につつある」とした。
「これは他国が申し合わせた取り組みで、国家安全保障上の脅威だ」とトゥルース・ソーシャルに投稿。プロパガンダだとも主張した。
その上で、商務省など関係政府機関に対し、海外で製作され米国に送られる全ての映画に100%の関税を課す手続きを直ちに開始する権限を与えると表明。「米国で再び映画を作りたい!」と書き込んだ。
ラトニック商務長官は「着手する」とXに投稿した。両氏はどのように関税を課すかなど詳細には言及していない。
関税が劇場公開作品だけでなくストリーミング配信作品にも適用されるのかや、製作費あるいは興行収入に基づいて算出されるのかは不明だ。
映画スタジオなどは何年も前から製作地をハリウッドから税制優遇措置のある場所に移してきた。ウォルト・ディズニー(DIS.N), opens new tab、ネットフリックス(NFLX.O), opens new tab、ユニバーサル・ピクチャーズ(CMCSA.O), opens new tabを含むメディア大手はいずれもカナダや英国など海外で撮影を行っている。
トランプ氏の発表を受け、オーストラリアとニュージーランドの政府は自国の映画産業に対する支持を表明した。マーベルのヒーロー映画の一部は豪州で撮影され、ニュージーランドは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの舞台となった。
元米商務省高官で戦略国際問題研究所の上級研究員を務めるウィリアム・ラインシュ氏は、映画関税に他国が対抗措置を取れば大きな打撃になると指摘。
「報復措置は国内映画産業を破壊するだろう。得るものより失うものの方がはるかに大きい」と述べた。また、映画を国家安全保障や国家非常事態の根拠とするのは難しいとの見方を示した。

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