井出草平の研究ノート

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ドイツ・小4のゲーム時間は中3のビデオゲーム嗜癖を予測するが、家族、学校、人口統計学的変数をコントロールすると効果がなくなる

https://econtent.hogrefe.com/doi/10.1027/1864-1105/a000093

  • Rehbein, F., & Baier, D. (2013). Family-, media-, and school-related risk factors of video game addiction: A 5-year longitudinal study. Journal of Media Psychology: Theories, Methods, and Applications, 25(3), 118–128. 10.1027/1864-1105/a000093.

本研究は、ドイツ(ゾルタウ=ファリングボステル地区)の児童生徒406人を対象とした、5年間隔(小学4年生時と中学3年生時)の2時点データを用いた縦断研究である。対象者は調査開始時平均9.7歳、終了時平均15.0歳であった。

小学4年生時点でのゲーム時間は、メディア使用に関する変数のみを含むモデルでは5年後の中学3年生時点でのビデオゲーム依存(GA)を予測したが、家族や学校関連の要因などをすべて投入した最終的な統合モデルでは統計的に有意ではなくなった。このことから、研究ではゲーム時間はGAの弱い予測因子であり、他の要因(特に過去の問題使用や学校関連要因)を考慮するとその影響は小さくなると考察された。GAの判断には、臨床診断ではなく「ビデオゲーム依存(GA)」という用語と、ICD-10の依存症分類基準に基づいた11項目の尺度「Video Game Addiction scale (CSAS)」が用いられた。分析には主に尺度の合計得点が連続変数として用いられた。

分析手法としては、階層的重回帰分析が用いられ、小学4年生時点での様々なリスク因子が中学3年生時点でのGAを予測するかどうかを段階的に検証した。この研究では、抑うつADHD、不安症、自閉症は測定もコントロールもされていない。

小学4年生時点でのゲーム時間(gaming time)が、5年後の中学3年生時点でのビデオゲーム依存(Video Game Addiction, GA)を予測するかどうかを検討している。メディア使用に関する変数のみを含むモデル(Model III)では、ゲーム時間が有意な予測因子となった。しかし、家族、学校、人口統計学的変数などをすべて投入した最終的な統合モデル(Model V)では、ゲーム時間の影響は統計的に有意ではなくなった。

要旨

近年、さまざまな疫学研究によって、さまざまな年齢層におけるビデオゲーム嗜癖(GA)の有病率に関する実証的データが得られている。しかし、ビデオゲーム依存症の原因について調査した研究はほとんどなく、広範な現象であるビデオゲームのプレイが、嗜癖性プレイヤーの割合を比較的少なくしている理由を説明することはできなかった。さらに、既存の縦断的研究は、主に心理的特性変数を検討しており、メディアの利用可能性、メディアの使用、家族や日常の学校生活に関する社会化における予測因子の説明的価値の可能性を軽視している。本稿では、4年生から9年生(N=406)の生徒を対象とした2波にわたる縦断的研究の結果を示す。データによると、15歳のビデオゲーム嗜癖者は、10歳の時点ですでに多くの特定の危険因子を示していた。ひとり親家庭の生徒は特にリスクが高いようで、学校での幸福感が低く、クラスでの社会的統合が弱い生徒も同様である。また、幼少期にビデオゲームを問題なく使用すると、思春期にGAを発症するリスクが高まることも示されている。男子生徒は特にGAを発症しやすい。本研究の結果は、青年期におけるGAの危険因子を理解する上で重要な貢献であり、それによって効果的な予防策の基礎が築かれることになる。

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