「ラウンドワン」のアメリカ進出
1993年に第1号店をオープンした日本発の大型アミューズメント施設である「ラウンドワン」。着々と展開を続け、現在国内では約100店舗を運営している。
そんなラウンドワンに関して、先日Xでは以下のようなポストが話題となった。
《ラウンドワンがアメリカ進出したら大成功して、その地域の若者のクスリやら非行やらが減ったってことはもっと有名になっていい話》(3月3日現在、8.8万“いいね”)
実はラウンドワンは現在、国内のみならず、アメリカに56店舗、中国に4店舗(2025年3月3日現在)を展開し、海外進出に成功しているのだ。2025年3月期上半期におけるアメリカ事業の売上高は、前年比5.2%増の176.5億円と好調な売り上げを記録しており、毎年店舗数を増やしている状態である。
Xで話題になったポストがどこまで実態に即しているかは不明ながら、《この事例知らなかったです。 エンタメ、娯楽の価値ってこうゆうところにあるのだな…パチンコ然り。》や、《むしろラウンドワンのような施設は向こうの方がメジャーなのかと思ってた》など、ラウンドワンの功績について驚きのコメントが多数寄せられている。
マーケティング戦略や言語の壁で苦戦することが多い日本企業の海外進出だが、ラウンドワンはなぜアメリカに50店舗越えを達成できたのか。今回はエンタメ界の動向に詳しい、社会学者でRe entertainment代表取締役の中山淳雄氏に解説してもらった。(以下、「」内は中山氏のコメント)
アミューズメント業界は衰退産業だった
現在着実に海外に店舗を広げているラウンドワンだが、そもそもアメリカにはラウンドワンのような大型のアミューズメント施設は存在しなかったのだろうか。
「ゲームセンター施設などのアミューズメント業界は、アメリカでは衰退産業とも言われていて、活気のあるビジネス分野ではないのです。例えば10年以上前の古いゲーム機がそのまま置いてあることも珍しくなく、日本のゲームセンターのように最新のゲーム機が揃っている施設は少ないです。そんななかで、日本のラウンドワンが進出したことは、現地に大きな影響を与えたのでしょう」
ラウンドワンは2010年、念願だった海外進出を果たす。海外1店舗目をアメリカ・ロサンゼルスに出店したのだ。2016年からブシロードインターナショナルの社長として活躍し、当時ラウンドワンとも関わりがあったという中山氏は、ラウンドワンのアメリカ進出成功のワケについてこう分析する。