アンジェントルメンのレビュー・感想・評価
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つよつよ脱法チーム、ナチスを叩きのめす(実話ですと……?)
みんな大好きスパイアクション。ビジュアルからしていかにもガイ・リッチーらしいぶっ飛び映画……え? 実話に基づく??
蓋を開けてみればやっぱりぶっ飛び映画。実話要素かなり少なそう……まあいっか、めちゃくちゃ楽しいから。
冒頭いきなり、ガチムチ男たちが船の上。ナチスに拿捕されるかと思いきや、隙を捉えて相手を皆殺し。彼らはいわばチャーチル直轄の脱法部隊。ヒゲ面イケメン主人公ガス、怪力男ラッセン、凄腕航海士ヘイズに爆破スペシャリストのアルバレス。途中の島で頭脳派キャラのアップルが加わって、負ける気がしない実力行使チームが出来上がる。少年ジャンプかな。
ターゲットの補給船が停泊するスペイン領ギニアのサンタ・イザベル港ではスパイ映画らしい動きが。裏ビジネスを取り仕切りナチス高官と面識を持つヘロン、ハニトラから射撃までこなすマージョリーの二人が、補給船爆破のお膳立てを整える。
いいですねー、この登場人物だけで白ご飯が進みそうな感じ。こんな濃いメンツが暴れる合間でクールなオーラを放っていた、イアン・フレミング役のフレディ・フォックスもよかった。
ヘンリー・カヴィルのお顔が髭で覆われているのはもったいないと最初は思ったが、見慣れてくるとワイルドな役に合っていてなかなかよい。
彼が扮するガスたちのチームは専らフィジカル担当という感じで、本作のスパイ要素はヘロンとマージョリーが担っている。このマージョリーがとにかく魅力的。色仕掛けを武器にするという設定を一目で納得させる美しさ、ルアー大佐との会話で見せる知性と度胸、射撃の時の身のこなし。パーティーで「マック・ザ・ナイフ」をセクシーに歌い踊る場面では、そのルックスと歌声に魅了された。
歌の一部をイディッシュ語で歌ってしまってユダヤ人だとバレる、というくだりは賢い彼女らしくない隙だったものの、フィジカルチームが強すぎてハラハラするシーンがなかったのでまあよしとする。
(イディッシュ語はユダヤ人が話すドイツ語の方言で、標準ドイツ語に近い言葉)
クライマックスは、補給船の中でのナチス兵士たちとの戦闘だ。ラッセンをはじめ、他のメンバーもとにかく強い強い。ナチスのモブがかわいそうになるくらい強い。ルアー大佐が別の場所にいたせいか、悪の親玉との対決感がなく、一方的な虐殺を眺めているようなちょっとだけ複雑な気分になった。いやいや、これはナチスという巨悪との戦いですぞ。
モデルになった「ポストマスター作戦」は、Uボートの補給を断つオペレーションではあるが、実際は補給船を爆破する予定はなく、当初から積まれた物資を奪取する計画だったようだ。アップルがナチスに捉えられていた、補給船曳航時に銃撃戦になった、というのもフィクション。ルアー大佐が変態だったのもフィクションだろう、多分。
一方、英国政府内で外務省や陸軍部隊の協力が得られない中、海軍省によるコルベット艦派遣といったバックアップはあったものの、作戦がごく少人数で実行されたことは事実。SOEのメンバーがあらかじめスパイとして現地に入り、作戦の日にパーティーを開いたのも実話だ。
邦題を見た時は、監督の過去作「ジェントルメン」に寄せた安直なネーミングかなと思ってしまったが、原題「THE MINISTRY OF UNGENTLEMANLY WARFARE」はチャーチルが本作戦のチームにつけた呼称であり、一応史実ルーツのタイトル(邦題はその切り取り&アレンジではあるが)なのだ。
Uボートの活動を封じるという目覚ましい功績を挙げたこの極秘ミッションだが、リアリティ重視で映画化すれば地味で重い作風になりそうなものだ。そこへドンパチ爆発、美しき女スパイと敵ボスの攻防などエンタメ要素をてんこ盛りに盛って、ガイ・リッチー節の効いたスカッと活劇に仕上げた監督のセンスや良し。
影の英雄だった彼らの功績を広く知らしめて讃えるには、これくらいカジュアルでカッコいい味付けにするのも全然アリ。
憎き敵兵を殺しまくる痛快戦争活劇……が実話ベースだと単純には楽しめない2020年代の現実
ガイ・リッチー監督作には大好きな映画がたくさんある。ルールに縛られないワルたちの活躍、スタイリッシュな演出とテンポのいい編集、皮肉の効いたユーモア、絶妙なサウンドトラックのセンスといった長所が、この「アンジェントルメン」でも健在だ。本作ではそれぞれが優れた能力を持つ面々(殺し屋、弓矢とナイフに長けた怪力男、計画の達人、熟練の船乗り、泳ぎの得意な爆破の専門家、秘密通信のプロ、女優兼歌手で射撃の名手など)が、第2次大戦下の英国首脳部が秘密裏に計画した作戦のために集められ、ナチスドイツ軍のUボート(潜水艦)を無効化する目的で補給船を爆破すべく、少数精鋭で大勢の敵兵に立ち向かう――という胸アツな展開が繰り広げられる。
正義の主人公側チームが決死のミッションを遂行し、憎き敵兵たちをばったばったとぶち殺していくカタルシス全開シーンの連続に快哉を叫ぶ……フィクションなら気兼ねなくそうするのもいい。だが、このストーリーが実話ベースであることが、喉に刺さった小骨のように引っかかり続ける。
戦争とは国と国との利害の衝突や主義・思想・宗教の違いから争いが始まり、どちらも自国が正義、敵国が悪とみなして武力を行使するもの。狂った独裁者に従う敵兵たちも悪者だから皆殺しにして何が悪い、というのは戦勝国の理屈として合っていても、敗戦国側の心情として、兵士全員が絶対悪、単純な憎まれ役として描かれるのは理不尽な気がする。ドイツの軍人も一様な悪ではなかったはず。もちろんヒトラーに心酔して暴虐の限りを尽くした者も大勢いただろうが、厳しい組織の中で上の命令に仕方なく従い、愛する家族のもとに早く帰りたいと願いながら戦った兵も少なからずいただろう。
ましてやこの2020年代には、ロシア・ウクライナ戦争とイスラエル・パレスチナ戦争が継続中で、戦災地の悲惨な状況が日々ニュースやSNSを通じて目に入ってくる。それを見て、どちらか一方が絶対的に悪いのだから、悪い連中は殺されて当然、などと思う人はまずいないだろう。「アンジェントルメン」で描かれる英国側の特殊部隊とナチス兵らの戦いも、半世紀以上昔とはいえ、現在と地続きの、実在した人々が関わり、命を落としていった出来事だととらえるなら、敵兵の殺戮をまるでシューティングゲームの場面のようなエンタメとして描くことも、観る側がエンタメとして消費することも、どちらも不適切で不謹慎なのではないか。
そんなのは考えすぎだとか、もっと気軽に楽しめばいい、といった反対意見もあるだろう。価値観や倫理観は時代や国・地域によって異なるものだし、個人差ももちろんある。希望的観測ではあるが、実際に起きた戦争や戦闘を題材にする劇映画は、将来的にヒューマンドラマやサスペンスアクションのジャンルでは作られ続けるとしても、敵の殺傷をエンタメタッチで描く娯楽活劇として作られることは減っていくのだろうと、本作を観て感じた。
いくらなんでも弱すぎるナチスの皆さんたち
「イングロリアス・バスターズ」封切りから15年。またまた出ました第二次世界大戦秘話もの。
もうネタはないでしょと思っていたがどうも2017年にチャーチル絡みの文書が公開されて大戦の岐路になったこの実話が明らかになったらしい。
007が活躍する組織MI6の前身であるSOEの発足に関連した話らしく、チャーチルや「M」、イアン・フレミングも登場するということでワクワクしながら観たのだけど。
そこはさすがガイ・リッチー。理屈抜きの戦争活劇に仕上げてました。ともかくスピード感がありバンバン画面が切り替わる。また登場人物たちの語ること、語ること。この饒舌な感じがガイ・リッチー節なんですね。
主人公のチームがともかく強い。そしてナチスの皆様がともかく弱い。最後の港のシーンではナチス(あとイタリア兵)も頑張ったけど、途中の収容所のある島での戦闘なんてホント、一方的な皆殺しなんだよね。
「グロリアス・バスターズ」にも出演していたティル・シュバイガーがナチスの元締めルアーズ大尉の役で出演しています。どんなに変態で悪い奴と思っていたが、全く口ほどになかったですね。
あとチャーチルが今まで見た映画の中で最も貫禄がありませんでした。
悲壮感は全くない戦争アクション
爽快感より嫌悪感
個性的な「達人」が集結して戦いに臨むハナシは大好物なのだが、とにかく人が死にすぎて興ざめした。ドイツ軍は敵とはいえ、命の扱いが軽すぎる。
ガイ・リッチーらしいスタイリッシュで軽いノリがちぐはぐで、違和感どころか嫌悪感を感じた。
実話ベースで、チャーチルが組織した特殊部隊の始まりの話で、ドイツ軍に対して「非人道的な」ことをしたので「アンジェントルマン」とのこと。
非情な血塗れのアンジェントルマンぶりを強調してマカロニ・ウエスタンになぞらえたらしいのは、タイトル曲からもよく分かる。
でも、マカロニならもっと泥臭くないと。
その点でもガイ・リッチーの作風は合わないと思う。
イアン・フレミングは実際第二次大戦中は諜報部員だったそうだし、「M」と呼ばれる人物もでてきて、少しにやにや、はした。
作戦は成功したが、快哉を叫ぶ気にはなれませんでした。
軽快過ぎて痛快になれない
みんなが観たい!ナチをぶっ倒すイギリス🇬🇧
ジェントルメンなアンジェントルメン
実際にこの特殊チームはあったようです。派手なアクションは痛快でした。
第2次世界大戦中の英で非公式に結成された特殊部隊の戦いを活写したスパイアクション。
第2次世界大戦中、英国軍にも北大西洋上のUボートを無力化するためUボートの補給艦を撃沈させる作戦を試みる破天荒なメンバーの活躍。
ジェームズ・ボンドのモデルになったと言われる主人公ガス・マーチ=フィリップスが演じた。
ヘンリーカビルだとぉー!
主人公、ガス=スーパーマンにはとても見えない!役作りしてきたねえ!「コードネームU.N.C.L.E」の時はまだ、「スーパーマン」キャラの雰囲気残ってたけどね。今回は全くの別人!すごっ!
そして、久々に「ガイリッチー」節が炸裂したね。往年のスタイリッシュさがよく出てた!音楽といい、会話の内容やテンポといい、おおーってなったよ。正直「キングアーサー」とかちょっとなあ、と思ってたし、最近は少し作風が違う感じでね、、、そうそう、こういう作品待ってたんだよ!
そんでね、主人公チームが誰も死なないからこそ滲み出る「ウィット感」があると思うんだよね。仲間が途中で死んじゃったら「復讐」「弔い合戦」って感じで「おしゃれ」じゃなくなるしね。紅一点のマージョリーも良かったね。曲者感漂うというか「峰不二子」っぽさがいいよね!俺は未見なんだけど「ジェントルメン」って作品あるらしいね。今作と対になってるのかな?って少し思った。どうなんだろね?
すたすた歩いて、ぱすぱす撃って、さくさく敵を倒す。このテンポ感が映画ならではのスタイリッシュさにつながってるなあ。
単純に好き!映画らしさを楽しめたなあ!当然、パンフも購入!
2025年度劇場鑑賞19作品目
痛快の一言!
ガイ・リッチーの作品は最初の2作だけ飛びつきましたが
あとはどれもパッとせず(すいません全部観ているわけではないのですが)
今回もあまり期待していませんでした。
ですが、ジェリー・ブラッカイマー風味が加わった影響かわかりませんが
単純明快、これぞ往年のスパイ冒険活劇。
特に凝った戦闘などはないし、ストーリーも単純ですが
とにかく観ていてスカッとしました。
その大きな要因として音楽があります。
マカロニ・ウエスタン風スパイ映画音楽とでもいいましょうか
ベタベタな感じなのですが、音楽のおかげでシーンの盛り上がりが3割増です。
本来は隠密行動のスパイものですが、
派手に暴れすぎて、史上最も人が死ぬスパイ映画ではないでしょうか。
肌感ですけど。
あと海外版ベースのポスター(キービジュアル)ダサすぎ。
観たく無くなるレベル。もっとうまく宣伝しないとお客さん来ませんよ。
★4となっていますが、リアル採点は3.8です。
クセの強い映画を期待していたのに、あっさりしていて物足りない
無法者の集団が決死の任務に挑むという展開そのものに目新しさはないのだが、船で目的地へと向かう特殊部隊の状況と、敵地に潜入したスパイたちの活躍がそつなく描かれていて それなりに楽しめる。
ナチスの兵隊たちを虫けらのように皆殺しにしていく様子からは、「敵の弾は当たらないのに、こちらの弾は百発百中」みたいな荒唐無稽さを感じないでもないが、マカロニ・ウエスタン風のBGMと相俟って、B級アクション映画としての面白さが味わえるようになっている。
ただし、激しい銃撃戦や派手な爆発といった見せ場はあるものの、高難度のはずだった作戦が、これといったトラブルもないまま、あっさりと成功してしまうところには、何だか拍子抜けしてしまった。個性的な「ならず者」たちが、それぞれの特技を活かして活躍する姿ももう少し見たかったし、ラストが、主人公と敵のラスボスとの「一騎討ち」にならなかったところも残念だ。
期待した割には、ガイ・リッチーらしいトリッキーな演出や、ジェリー・ブラッカイマーらしいスタイリッシュな映像が、影を潜めてしまっているところも物足りない。
イアン・フレミングやMが出てきた上に、「主人公が007のモデルになった」と説明されても、髭をたくわえたヘンリー・カヴィルはワイルド過ぎて、タキシードの似合うスパイのイメージからは程遠いと言わざるを得ない。
どうせなら、ショーン・コネリーが演じた初期の007に寄せた「作り」にしていたら、もっと面白くなっていたかもしれないと思ってしまった。
ガイ・リッチーみ
スタイリッシュだが薄味
メインプロットのミッションを、
ストーリーの軸に据えつつ、
ガイ・リッチーらしい映像の妙技とテンポ感だけで観客を惹きつける作品だ。
しかし、このような「映像のおもしろさ」に全振りした映画が、
果たしてどれほどの観客を動員できるのかは疑問が残る。
映像の見せ方に依存しているため、
ストーリーやキャラクターに深みを求める観客には、
やや物足りなさを感じさせる可能性がある。
リッチーのキャリアを振り返れば、
スーパースローやタイムスライスのような、
軽快でスタイリッシュな犯罪劇が一部で「飽きられた」と感じられる原因も、
まさにこの「深みの欠如」にあったのかもしれない。
前作『コヴェナント 約束の救出』では珍しく、
仲間との絆や人間ドラマをシナリオも含め、
しっかりと描き、
やればできる、というスタンスを垣間見せたが、
『アンジェントルメン』では再び彼の得意ゾーンに回帰した印象が強い。
本作がリアル007らしいので、
例えば007シリーズと比較してみよう。
初期の作品群は、
メインプロットはスペクターのような敵を倒し世界を救う、
スペクタクルとエンターテインメント性を詰め込み、
Qの新兵器、多種多様のボンドカーや「007秒で停止するカウントダウン」、
ユニオンジャックのパラシュートといったギミックで観客を満足させた。
サブプロットは軽く、深く考えずとも楽しめる設計だった。
しかし、ダニエル・クレイグのボンド以降、
シリーズは一変する。
ボンドの自分探しやスパイとしての尊厳といった重厚なサブプロットが導入され、単なるアクション映画を超えたストーリーテリングが求められるようになった。
これは、現代の観客がエンターテインメントに「意味」や「感情の共鳴」を期待するようになった証左だろう。
確かに、豊富な火力、ウィットに富んだ会話、
豪華キャストの軽妙なやり取りは見事で、
映像面での「おもしろさ」は申し分ない。
だが、
観客の嗜好は変化している。
アニメでは抽象的で壮大なテーマが支持され、
マンガでは長尺で描かれる友情や精緻な物語が読者を引き込む。
世の中のエンターテインメントの質とスピードが向上する一方で、
観客は短時間で高濃度の刺激を求める傾向も強まっている。
007が時代と共に進化したように、
ガイ・リッチーもまた、
単なる娯楽を超えた何かを提示できれば、
さらに広い観客層を掴めるはずだ。
今のままでも十分に楽しめるが、「次の一歩」を踏み出さない限り、
彼の映画は「スタイリッシュだが薄味」という評価を覆せないかもしれない。
シナリオも書いている、
ロックストックとか
スナッチとかは、
一周回って若い人たちにもウケるのかもしれない。
好き嫌いは別れるのかも
第二次大戦中、苦境に陥った英国の一発逆転劇、その事実に基づいたストーリー。
非情に重苦しい決断を迫られるウィンストン・チャーチル、正にナチスドイツに世界(特にヨーロッパ諸国)が蹂躙されている頃のお話しですから、シリアスになってもおかしくないのですが、ガイ・リッチーなら軽いテイストに仕上げてくれるだろうとの期待を胸に劇場へ、そうしたら予想通り、人はバッタバッタ死にますが、そこはそれコミカルさが勝る映像になっていて、ワタシ的には好物でした。
同じ題材でもクリストファー・ノーランならもっと考え込むような作品になるのでしょうね(それも見てみたいけど)
序盤から「M」と呼ぶのを観て「おや?」と思いましたが、そうか、この人があのスパイシリーズのモデルかもなのですね、納得です。
ユニオンジャックの狐がハーケンクロイツの狸を化かす。臨機応変のハラハラドキドキに胸が高鳴りました。
だけど、チャーチルの頑張りとか、この作品に登場した面々がいなかったら今の世の中どうなっていたのかと考えるとぞっとするし、戦争は愚かだと改めて思わされもしました。
「Mack the Knife」の歌唱シーンで、どの歌詞がイディッシュかわかる人はすごいと思う
2025.4.7 字幕 TOHOシネマズ二条
2024年のアメリカ&トルコ&イギリス合作の映画(122分、G)
原作はデイミアン・ルイスの『The Ministry of Ungentlemanly Warfare』
非合法のスパイの暗躍を描いたアクション映画
監督はガイ・リッチー
脚本はガイ・リッチー&アラシュ・アメル&エリック・ジョンソン&ポール・タマシー
原題の『The Ministry of Ungentlemanly Warfare』は、「非紳士的戦争省」という意味で、劇中のスパイメンバーにつけられた名称のこと
物語の舞台は、1942年の大西洋沖
スウェーデンの漁船に乗り込んでいるガス・マーチ=フィリップス(ヘンリー・カヴァル)とアンドレス・ラッセン(アラン・リッチソン)は、ナチスのBボートの職質を受けていた
彼らは船内を隈なく捜索し、奥に隠し部屋があることに気づく
そこには仲間のヘンリー・ヘイズ(ヒーロー・ファインズ・ディフィン)とフレディ・アルヴァレス(ヘンリー・ゴールディング)がいて、彼らの発砲と同時に、船上でも銃撃戦が始まった
4人はBボートを制圧し、そこから予定通りの航海を続けていく
彼らはもう一人の仲間であるジェフリー・アップルヤード(アレックス・ベティファー)を救出するためにイタリアのラ・パルマ島を目指していて、合流したのちには赤道ギニアのフェルナンド・ポー島に向かうことになっていた
目的は、そこに停泊しているスペイン船ドゥケッサ号を沈めるというもので、その船はナチスの誇る潜水艦Uボートへの食糧や兵器、燃料などを補給する船だった
Uボートは大西洋の覇権をドイツのものにするほどの性能があり、それによってナチスと交戦中のイギリスはアメリカの協力を得られていなかったのである
物語は、2016年にウィンストン・チャーチル(ロニー・キリア)が公開した文書をもとに作成された原作に倣っていて、いわゆる「事実に基づく(Based On)」の作品になっている
劇中に登場する女優のスチュワート(エイザ・ゴンザレス)も実在の人物で、作戦の立案はのちに「007」シリーズを執筆するイアン・フレミング(Freddie Fox)で、作戦の責任者は「M」のモデルでもあるガビンズ准将(ケイリー・エルウェス)だった
映画で描かれる作戦は「ポストマスター作戦(Operation Postmaster)」で、これも実際に行われた作戦で、1942年1月14日に行われ、映画のようにタグボートで曳航し、引き渡しが行われたとされている
本作は、ナチスに家族を殺された人々が集まって復讐を果たすという流れになっていて、いわゆる無双状態で相手を薙ぎ倒していく様子が描かれていく
ピンチというピンチはなく、ひとり被弾するものの、悲壮的な展開になることはない
相手がナチスだったら何をしてもOK状態に近いので、そう言った一方的な戦争に爽快感を求める人ならばOKだろう
ただし、作戦が成功するかどうかを緊張感を持って見守るというテイストは最低ラインで残されているので、飽きが来ないつくりにはなっていると思った
いずれにせよ、詳しい予備知識は必要なく、ほとんどが映画内で説明されている
007シリーズを知っていれば、イアン・フレミングとMにニヤリとするぐらいものもので、ユダヤの言葉が聞き分けられる人ならば、後半の決定的なシーンの意味がすんなりと入ってくるように思える
ちなみに、あの歌唱シーンにおいて、スチュワートは
「Mack the Knife」という曲をドイツ語で歌うのだが、その歌詞の中で「Yeder Veyst(「みんなが知っている」という意味のイディッシュ語)」という言葉を使ってしまう
それによって、ルアー大佐(Til Schweiger)は彼女がユダヤ人であることに気づくのだが、これがわかるのは言語にかなり精通している人だと思う
映画では、ちょうどスチュワートが歌いながらルアー大佐の膝の上に乗るシーンになるので、見返せる人は気に留めてみたら良いと思う
ちなみに、著作権的にOKかわからないが、YouTubeに該当シーンの動画があるので、自己責任で「Mack the Knife」+「映画の原題」でググってみれば良いのではないだろうか
極秘任務を遂行する困難に立ち向かう男達と1人の女性の熱い作品。 本年度ベスト!
出だしの字幕!
実話ベースの作品と言う事に驚く!
第2次世界大戦中のスパイ映画って感じ!
メッチャ面白かったぁー!
実話ベースと言う事で0.5を加点。
ドイツ軍の潜水艦、Uボートを無力化させる為、Uボートに積み込む魚雷や燃料を積んだ貨物船を海に沈める秘密裏のミッションに選ばれた男達のストーリー。
某スパイ映画の様に「当局は一切関知しない」みたいな感じで進む展開。
でもちゃんと無線で当局に状況報告する律儀なメンバー達(笑)
任務を遂行する為、ドイツ軍の収容所に囚われた仲間を救出したり、陸と海から2方向から貨物船のある港まで向かう展開がメイン。
紅一点のマージョリーが美しい。
彼女の素敵な歌も聞けるお得感(笑)
銃の腕前もお見事だった。
終盤、船を沈める任務を遂行する事が困難である事が判明。
それでも仲間達の機転で任務を成し遂げる感じが胸熱だった!
ドイツ軍の兵隊が、かなり殺されるんだけど殺し過ぎじゃね?(笑)
でもあっさりしてて残酷な感じがしないので観ていて苦痛にならないのも良かった。
エンドロールで実在の人物を紹介するけど皆、勲章を頂いていることに驚く。
実在の皆さんが優秀な方だったと認識しました( ´∀`)
イギリスの公に出来なかった史実
第2次世界大戦中の1942年1月、ナチス軍はオランダ、ベルギー、フランスを占領し、イギリスも猛攻を受け窮地に追い込まれていた。イギリスはアメリカ軍の援助を要請していたが、ナチス軍の潜水艦Uボートが大西洋を支配していて、アメリカ軍がイギリスに来る事が出来なかった。そこで、特殊作戦執行部のガビンズ少将とイアン・フレミングは、ガス少佐に、イギリス軍にもナチスにも見つからずに、北大西洋上のUボートを無力化せよ、という高難度の任務を命じた。特殊能力を持つ仲間たちを集めて船で現地へ向かったガス少佐は、作戦決行へ向けて準備を進めていくが・・・さてどうなる、という事実に基づく話。
その特殊部隊は違法だったため、イギリスはその存在を公に出来ず、1912年になってやっとチャーチル元首相の文書が公開されたため、公になったとの事。つまり、70年間秘密だったのか、とその事に驚いた。
ナチスは全面的に悪、と捉えて観ると、がんばれイギリスなんだけど、弱いからアメリカ頼りと言うのも情けないと言えば情けないな、とも思った。日本はその時アメリカと戦ってたので、一方的にイギリスを応援したいとは思わなかった。
海軍情報将校のイアン・フレミングは退役後に作家となったそうで、007で生み出したジェームズ・ボンドはモデルが本作のガス・マーチ=フィリップスとの事。勉強になった。
演じたヘンリー・カビルが良かった。
女スパイ役のエイザ・ゴンザレスが美しく色っぽかった。史実だと、その2人がこの作戦の後4月に結婚し、ガス・マーチ=フィリップスは9月に別の作戦で戦死したとの事。あんな生死紙一重の様な作戦を続けてると命がいくつあっても足りないよな、という感想。
事実に基づく、との事で、あまりフィクションを多く加えずに製作したのだろうけど、アクションもスリルあり凄かった。
潜水艦の補給基地がアフリカに有ったのも勉強になったし、戦争中の情報の大切さも良く理解できる、素晴らしい作品だと思った。
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