犬は、過去に経験した出来事を、時間軸に沿って整理された、人間のような自伝的記憶として保持していると言えるのでしょうか? 例えば、数ヶ月前に一緒に行った旅行の特定の場所や、そこで起こった出来事を、犬は人間の「昨日の夕食は何を食べたか」という記憶と同じような形で思い出すことができるのでしょうか? それとも、犬の記憶は、特定の感情や感覚、場所、人物などが断片的に結びついた連合記憶に近い形であり、時間的な順序や文脈は曖昧なのでしょうか? 例えば、特定の場所に行くと楽しかった感情が蘇ったり、特定の人物の匂いを嗅ぐと過去の経験と結びついた反応を示したりする行動は、エピソード記憶の証拠と言えるのでしょうか? 近年の研究では、犬が「いつ」「どこで」「何があったか」というエピソード記憶の要素を示す行動をとるという報告もありますが、これは真に過去の出来事を再体験していると言えるのでしょうか? それとも、特定の刺激に対する条件付けられた反応なのでしょうか? また、犬の記憶のメカニズムは、人間の記憶のメカニズムと本質的に異なるものなのでしょうか? 海馬をはじめとする記憶に関わる脳の構造は、犬と人間で共通していますが、その機能や情報処理のプロセスには違いがあると考えられますか?