本日は、国の打ち出す政策の「緩急」についてのお話。
国が政策を行う場合、その性格によって「慎重に」と「大胆に」があると思います。もちろん、元々進める気がなく、与野党が結論を先延ばしにしている政策は論外ですが、その部分を明確に区別しないと「重要な政策」が失敗に終わります。
〇 「大胆に」がある程度成功したもの
「令和のコメ騒動」に関しての小泉進次郎氏の備蓄米の「随意契約」に始まる放出です。もちろん、これから小泉氏の『緊急対策』が成功だったのか、失敗だったのかの検証が進むとは思いますが、少なくても国民は少し安心したのは確かですし、「パニック買い」は収まると思います。予想では、備蓄米があまり出し、「ミックス米」がそれなりの価格で売り出されるのだと思います。それにしても、「精米が間に合わないから市場に出回らない...」といっていたJA全農の責任者はきちんと説明するべきだと思います。それを指導できなかった農水官僚もです。だって、小泉氏の就任から10日程度でもう精米されて店頭に並んでいるんです!!「コメ騒動」の悪化は「入札備蓄米の放出」が全然進まなかったことによって起こったものです。順調に進んでいれば、そんなに古い備蓄米を放出しなくても済んだんです。これほどまでに混乱はしなかったはずです。農政官僚は「いっそのこと、この際5kgが4000円が標準でどうよ」なんて腹積もりでいたんではないのでしょうか。入札で購入した業者に不公平感を与えないよう買戻しの案まで出ていると聞きます(6/3)。でも、庶民からすると「自業自得」と思ってしまいます。
元農水相が「自分勝手が過ぎる...幹事長にちくっとやってもらわねば」...開いた口がふさがりません。「大胆に」の段階は終わりました。この「騒動」が収まったら、「慎重に」農政改革を安全保障を念頭に進めてもらいたいものです。
〇 「大胆に」がアダになったもの
河野デジタル大臣が導入した「マイナンバーカード」...これに尽きますね。もう少し「慎重に」進めてもよかったのではないでしょうか。方向性は時代にマッチしていたと思います。これだけ社会が国際化し、個人の流動性が大きくなった時代において、全国共通の「個人証明」が必要になるかもしれません。大臣退任のスピーチで河野氏は『マイナンバーカードの保有枚数が9,300万枚ということになりましたし、マイナポータルへの登録が7,100万人、公金受取口座が6,320万件ということで、本当に多くの国民の皆様にマイナンバー・マイナンバーカード・マイナポータルを使っていただけるようになった』と言っていますが、実効性はどうなんでしょう?実は、私は高齢者の平均だと思っていますが、正直、どんなふうに使えるのかよくわかりません。「住民票」「保険証」「免許証」「オンラインバンキングの際の個人証明」このくらい?...このくらいならあれだけの騒ぎで進めなくてはいけなかったのか...と正直思います。政策の方向性としては悪くはなかったと思いますが、とにかく急ぎすぎた...「性急」という言葉にピッタリでした。短期間に大臣の強引な「押し出し」で各自治体はアップアップ...物理的に回らない...でも「やるんだ」と顔を真っ赤にして怒鳴り散らし...挙句の果てはミスが続出...その結果「カード」自体の信用を無くし、作っても利用しない...いろいろなものに紐づけしながらも、これだけ信用なくなると、利用することが怖くなります。みんなが「うんざり」している状態ではないでしょうか。このカードの必要性は認めます。現在の状況を打破するこのカードの利用拡大の奥の手は、国からの臨時交付金、払戻金、大規模災害時における助成などの「損得に直結する」窓口をこの「カード」に絞れば一発だと思います。人は「得すること」には敏感ですが、「損すること」にはさらに敏感です。新しい大臣、そう平将明大臣、あなたです。やってみては?
ただ、二つの政策に共通して言えることは、大臣が動いた...ということです。日米の閣僚の一番の違いはここにあります。アメリカでは、その領域に精通した人間が閣僚ととなり動きます。だから、スピード感をもって政策が良くも悪くも実行されるのです。日本の大臣はあの「ひな壇」で(記念)写真を撮ったあとは官僚任せです。官僚もどうせ腰掛の大臣だから「動けまい」とタカをくくっている節もあります。既得権益を守ることを「改革」より優先します。それを「あ、うん」の呼吸で飲んでくれる人が大臣になるといっても過言ではありません。大臣就任の挨拶で「私は全く素人です」と公言する大臣まで出てくる始末...日本の政治の弱点はここにあると思います。
これからの世界、日本の中の「既得権益」を防衛するだけでは生きていけません。その道のプロ、またはそれを支えるブレーンがしっかりした政治家にこれから出てきてもらいたいと思います。その政治集団による政治こそ、日本が生き残る道ではないでしょうか。