米、日本へ「渡航中止」勧告 米五輪委は「選手の安全な参加確信」(朝日新聞)
米国務省は24日、米国から国外に渡航する人向けの情報を更新し、日本への渡航を最も警戒レベルが高い「渡航中止」に引き上げた。約2カ月後に東京五輪・パラリンピックの開催がせまるなか、日本国内の新型コロナウイルスの感染状況を深刻に捉えていることを示した。
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同日更新されたCDCの分析では、日本について「ワクチン接種を終えた人でも変異株に感染し、感染を広める可能性がある」と指摘。日本の感染状況を4段階で最高レベルの「極めて高い」に引き上げた。
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また、米国五輪・パラリンピック委員会(USOPC)も24日、取材に「選手たちの安全な参加を確信している」とした。
東京五輪の開催をめぐっては、米国の新型コロナ対策を指揮するファウチ大統領首席医療顧問が22日、米テレビで、日本のワクチン接種率が低いことを踏まえ、「ワクチンを接種していない人が大勢集まるのには懸念がある」と強調。その上で、「何をするかは私が決めることではなく、日本が決めることだ」と語っていた。(合田禄、園田耕司=ワシントン、石塚広志)
さて我が国は長らくアメリカの意向を最優先とするアメリカ第一主義を貫徹してきたわけですが、そのアメリカから日本は「渡航中止」と指定されたことが伝えられています。それでもなおオリンピック・パラリンピック開催については「選手たちの安全な参加を確信している」とのことで、アメリカ側にも足並みの乱れが窺われるところです。
緊急事態宣言などで一時的に感染者を減少傾向に向かわせることが出来ても、規制を緩めれば感染拡大につながることは明らかで、逼迫する医療リソースをオリンピック最優先とするのは狂気の沙汰としか言えません。しかるに合理性や損得よりも信念やイデオロギーが優先されがちなのが政治判断というもの、オリンピック開催が止められることはないでしょう。
普天間米軍基地の辺野古移設は、政権を取る前の民主党が公約として見直しを宣言していたわけですが、いざ与党になるとトーンダウンして前政権の決定が履行されることとなりました。その後、民主党は退陣前に消費税増税を決定、後を継いだ安倍内閣は経済最優先を掲げながらも結局は前政権の決定を履行し、最後は経済を失速させて終わりました。
オリンピック開催もまた現内閣や現都知事のもとで決められたものではありませんけれど、どうしたものでしょうか。むしろ今こそ前任者の決定を覆し、自分の色を出していい場面と思えるところです。しかるに無能な人ほど、自分の色を出すべき場面を誤って混乱を招き、前任者の誤りをそのまま継承してしまうものなのかもしれません。
先週の記事では、新型コロナウィルスの感染拡大を敗戦になぞらえました。日本社会にとって敗戦以来の社会変革の契機は、まさに今であると考えています。敗戦によって日本が民主主義国に生まれ変わったように、新型コロナウィルスの蔓延によって飲み会のような悪習の衰退と諸々のリモート化のような進歩の兆しも現れてきたわけです。
だったらもう、焼け野原になってしまった方がいいのかなと思わないでもありません。もし80年前の日本がアメリカに対して有利な条件で講和など結べていようものなら、日本の軍国主義は継続されその後の成長は阻害されていたことでしょう。コロナも敗戦と同じです。早期収束で古い社会の復活を許してしまうくらいなら、もう後戻りは出来ない状況になった方が次の時代の礎ともなることでしょうから。