先日は派遣村の話を書きましたが、実は私も12月限りで派遣切りに会いました。まぁ私の場合は会社の寮に住んでいたりするわけでもないので契約打ち切りで即路頭に迷うというわけでもなく、貯金せず浪費に回す人こそ内需を支えている功労者なんだと主張しておきながら、さりとて金のかかる趣味も持っていないだけに貯金がないわけじゃない、そこまで深刻な事態ではないのですが……とりあえず収入の当てが無くなりました。すぐに困窮するわけではないにせよ、あまりのほほんともしていられません。
会社を辞めたり契約を打ち切られたりは慣れっこですが、しかるに今までと違うのは、良くも悪くも失業給付金がもらえそうなところです。つまりは失業が「自己都合」扱いの場合、失業給付が始まるのは待機期間+αで実質4ヶ月後、そこまで悠長に構えてはいられないので条件を下げてでも再就職先を探さざるを得ない、だから失業保険なんてまるっきり縁のない制度だったのですが、今回は諸事情により「会社都合」になりそうなのです。それは必ずしもポジティブな理由からではないのですけれど……
自分から会社を辞めた場合「自己都合」になるのは致し方ないところとしましょう、しかるに派遣契約打ち切りの場合も、往々にして「自己都合」扱いになりがちです。なぜなら派遣先都合による契約打ち切りであっても、派遣会社が新たな仕事を紹介してくれる限り、制度上は失業扱いにならないのです(雇用主は派遣先企業ではなく派遣会社であり、派遣会社から解雇されたわけではないので)。そこで派遣会社からの紹介を断れば離職票が送られてきますが、そうなると自己都合扱いにされてしまいます。働く意欲がないから~ではなく、今までの仕事よりも条件の悪い仕事しか紹介されないからと、そうした理由であっても紹介された仕事を断れば「自己都合」、失業保険とはそういう運用なのです。だから条件が悪くても呑むしかないようにできているのです。
ところが、派遣会社が匙を投げる時もあります。「あなたには仕事を紹介してあげません」「紹介できる仕事がありません」みたいな理由(前者は表に出さないでしょうけれど)で派遣会社側が仕事の紹介をも放棄することがあります。こうなると流石に自己都合にはならない、会社都合という形になる……はずです。こういう事態になって初めて派遣社員は失業給付の対象になる、何とも気の遠くなるような話ですが、幸か不幸か私もこのパターンになりそうなのです。というのも派遣会社の担当営業に新たな仕事を紹介するよう要求したのですが、「すみません、12月は1件も仕事が取れなくて、紹介できるお仕事がないんです」と頭を下げられてしまいまして。
派遣先企業と派遣元企業がグルになっている同グループ内の「専ら派遣」会社はさておき、そうでない場合は派遣先企業と派遣元企業(派遣会社)の力関係も重要です。派遣先企業と派遣社員、派遣会社と派遣社員の関係は不十分ながらも問題視されつつありますが、派遣先企業と派遣元企業の間柄だって健全とは言えませんから。往々にして派遣会社は派遣先企業の言いなりですし、他の派遣会社がより低い時給を提示してくれば、あっさり乗り換えられてしまうものでもあるわけです。いわば大手企業と下請けみたいなもので、この辺の競争抑制も必要でしょう。
……で、私の場合です。一生懸命働くフリをしていた頃は現場の上長からの評価も高かったみたいで珍しく時給が上がったりもしたのですが、その後は有給を消化しては嫌な顔をされ、働くフリをするのも面倒くさいのでさっさと仕事を片付けて後はぼんやりしていたら勤務態度を咎められと、次第に評価を下げていきました。そして折悪しく部署が縮小されることになり、口減らしの話が出てきたわけです。そこで(少しだけ)時給が高く会社から見れば高コストであり、かつ働きぶりが企業風土にそぐわない私がクビキリの対象に選ばれてしまったのかも知れません。やれやれ。