大手商社5社の2025年3月期決算が出そろった。三菱商事がトップに輝いたが、26年3月期は伊藤忠商事が首位を奪還する見込みだ。

 「この4年間、屈辱に耐えてきた。今期は『何が何でもトップを取るんや』ということで、(連結純利益見通しは)最低9000億円は出さないかん」。伊藤忠の岡藤正広会長最高経営責任者(CEO)は5月上旬、アナリスト向けの決算説明会でこう闘争心をむき出しにした。

 総合商社は連結純損益の多寡によって順位付けされることが多い。伊藤忠はかつて「万年4位」と皮肉られていた時期もあったが、10年、社長に就任した岡藤氏が急成長をけん引。16年3月期と21年3月期にはトップに立った。22年2月のロシアによるウクライナ侵略後は資源・エネルギー価格が高騰したこともあり、この分野に強い三菱商事、三井物産の後塵(こうじん)を拝してきた。

 25年3月期の連結純利益も日本KFCホールディングスの売却益などの追い風を受けた三菱商事が9507億円で2年ぶりのトップに。2位は三井物産(9003億円)、3位が伊藤忠(8802億円)となった。

 26年3月期は「25年の段階で、三井物産が『伊藤忠は9000億円と言っているが、うちは9200億円出す』と言っていると聞いた。負けるわけにはいかんなと」(岡藤氏)。ただ中国の不動産不況や反動減などがあり、足元の資源価格は落ち着いている。出てきた見通しは三井物産が7700億円、三菱商事が7000億円と伊藤忠を下回った。

 今回、三菱商事が中期経営計画の発表時に26年3月期の見通しを公表したことなどから発表の順番は伊藤忠が一番遅かった。岡藤氏は決算説明会で「(三井物産が見通しを発表した後、)幹部を集めて『(うちは)8500億円でもええんちゃうか。絶対額よりも順位だ』とも話した」と明らかにし、会場の笑いを誘う場面もあった。

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