デジタルには3つの製品カテゴリーがある 世界を変えたガジェットをブロックでつくるシリーズに関する2021年最後のポストは、1994年にソニーから発売された「Magic Link」(PIC-1000)だ。この端末の大きな特徴は、アップルからはみ出したように設立された米GENERAL MAGICという会社のモバイルOS「Magic Cap」で動いていたことである。 GENERAL MAGICについては、そのドキュメンタリー映画を角川アスキー総合研究所が配給してネット配信を開始したので、今年を締めくくる素材としてもピッタリだと思う。私は、その特別ネット上映会や企業やコミュニティ向けの上映会で、これに関する座談会のモデレーターなどをやらせてもらった。 「Magic Link」については、その開発に直接かかわられた鈴木直也さんのブロッグ「Good Old Bits」に詳しい。ほぼ、すべての語られるべ
『佐倉葉ウェブ文化研究室』トップページ ■ウェブ文化史: |商業サイトと個人サイトで構成されたウェブ草創期の歴史(1993年~2003年) |阪神・淡路大震災とインターネット |登録型ウェブ日記リンク集の動乱 |個人ニュースサイト史 |テキストサイトの歴史 |Flash動画史 |ウェブ文化から見たラグナロクオンラインの歴史 |アイマスMAD動画の黎明期| ■表: |個人サイトが多めなインターネットの歴史年表 |「東日本大震災発生に伴うインターネット上の出来事と話題」日表| ■その他: |自己顕示欲充足システムに飲み込まれる登山者と事故の危険性 ~インターネットの普及による山行への影響について『ヤマレコ』を事例にして~ |私のウェブ文化史の書き方 ~「個人ニュースサイト史」を例にとって~ |倉庫| ▼目次 ■序文 ■前段 ・JUNET、WIDEプロジェクト、日本最初のホームページ ■1993
真夏の森でセミの大合唱が突然あの有名なクラシック曲「パッヘルベルのカノン」を奏で始めたら――まるでSFのワンシーンを可能にする研究が行われました。 筑波大学(筑波大)で行われた研究によって、セミに電極を植え付けて鳴き声の高さ(ピッチ)を自在に操り、実際に音階を奏でさせることに成功したのです。 もしこの技術が普及すれば、セミだけでなくキリギリスやコオロギなどさまざまな虫たちに好みの曲を歌わせる虫のオーケストラが実現するかもしれません。 研究内容の詳細は2025年04月23日にプレプリントサーバーである『arXiv』にて公開されました。 Insect-Computer Hybrid Speaker: Speaker using Chirp of the Cicada Controlled by Electrical Muscle Stimulation https://doi.org/10.4
東京・江東区の日本科学未来館で、次世代のコンピューターとして期待されている量子コンピューターの仕組みを疑似体験できる展示が新たに加わり、23日からの一般公開を前に内覧会が開かれました。 最先端の科学技術に触れられる東京・江東区の日本科学未来館は常設展示のリニューアルを進めていて、23日から新たに2つの展示が一般公開されるのを前に、メディア向けの内覧会が開かれました。 このうち、量子コンピューターの展示エリアでは、理化学研究所が開発している国産量子コンピューターの頭脳にあたる集積回路のチップの実物が展示されています。 また、量子コンピューターの計算原理となる量子の「重ね合わせ」という特殊な状態を、複数の音楽を重ね合わせるディスクジョッキーにたとえ、疑似体験する「DJブース」も設けられています。 一方、宇宙科学の展示エリアでは、頭上を取り囲む大型スクリーンに素粒子物理学の最新の研究成果などが迫
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 X: @shiropen2 米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のライアン・ウィリアムズ教授が発表した論文「Simulating Time With Square-Root Space」は、コンピュータが計算処理を行う際の「時間」と「空間」の関係性について、従来の理論を大幅に改善するという研究報告(査読前のプレプリント)である。速く計算するには多くのメモリが必要という50年来の常識を覆す可能性を示す。 計算機科学で「時間」とはコンピュータが実行する処理ステップの数を意味し、「空間」とは計算に必要なメモリ使用量を指す。 約50年前の1970年代、チューリングマシンが時間tを要する
市場には、軽量の「Linux」ディストリビューションが多数存在しており、古くなったハードウェアを復活させる優れた選択肢となっている。軽量のディストリビューションがもたらす速度と柔軟性、セキュリティは、それらの古いコンピューターが決して経験したことのない水準のものだ。これはLinuxの美点の1つである。Linuxは、卓越した柔軟性と信頼性、セキュリティを提供するだけでなく、最新の「Windows」が正常に機能しないようなマシンでも快適なパフォーマンスを発揮できる。 そのようなディストリビューションの1つが「WattOS」だ。この飾り気のない軽量デスクトップOSは、ユーザーに即座に親近感を与え、10年前のコンピューターを新しくよみがえらせる。詳しい解説の前に、WattOSの基本事項について少し説明させてほしい。 WattOSのシステム要件 このLinuxディストリビューションは特に軽量化を目的
コンピューター分野では「何も示さないもの」を示す語句として「Null(ヌル)」が用いられています。この慣行が影響して姓名に「ヌル」が含まれる人は数々の問題に遭遇しています。 When Your Last Name Is Null, Nothing Works - WSJ https://www.wsj.com/lifestyle/null-last-name-computer-scientists-forms-f0a43b08 Nullはドイツ語で「0(ゼロ)」を意味する単語で、ソートアルゴリズムの「クイックソート」の発明者としても知られるアントニー・ホーア(通称:トニー・ホーア)氏によってコンピューターの世界に持ち込まれました。Nullは多くのプログラミング言語やデータベースなどで用いられていますが、中でもJavaのエラーの1つである「NullPointerException」は「ぬるぽ
iPhoneがタッチスクリーンの時代を創る2007年に登場した初代iPhoneがタッチスクリーンを普及させた / Credit:Wikipedia Commons2007年に登場したiPhoneは、当時、画期的なデザインとシステムを備えていました。 それまで一般的だった物理ボタンを使用した携帯電話(今で言うガラケー)とは異なり、タッチスクリーンによる直感的な操作が、ユーザーの心をつかんだのです。 それ以来、タッチスクリーンは一般的な技術になり、車や冷蔵庫など、あらゆるものに導入されました。 iPhoneが世の中から物理ボタンを無くしていったのです。 このことを分かりやすく示した事例は、携帯端末「BlackBerry(ブラックベリー)」の終焉でしょう。 このBlackBerryは1999年に販売された携帯端末であり、「スマホの元祖」とも言える存在でした。 実は「元祖スマホ」だったBlackb
スーパーコンピューター「京(けい)」を取り上げたNHK「新プロジェクトX~挑戦者たち~」が、ネット上で波紋を広げている。当時、京の開発責任者を務め、その後富士通を離れた人物に番組でほとんど触れられなかったことで、企業の都合が番組に反映されたのではないかという見方だ。一体、何があったのか。 京は、富士通と理化学研究所が開発し、2011年に稼働したスーパーコンピューター。演算性能は約10PFLOPS(ペタフロップス)で、これが1秒間に1京回(10000兆回)の計算にあたることから京と名付けられた。番組では富士通の技術者が登場し、当時の状況を語った。 しかし放送後、X上である投稿が注目を集めた──「プロジェクトX見た。京の開発責任者で、その後富士通と道を違えた父が一切出ず、直属の上司や部下で、今も富士通との関わりが深い人たちのみが登場する内容には、家族としては非常に複雑な気持ちである。集合写真で
「京は日本のものづくりの洗練の極みだと思う」 撮影=浜田 健太郎 スーパーコンピューター「京」世界一を主導した天才肌のエンジニア。だが目標達成が見えてきたその時、部下100人を奪われ富士通で居場所を失った。不遇を乗り越えた今、高校生へのIT教育に情熱を注いでいる。 (聞き手=浜田健太郎・編集部) 「計算力を分散させた発想は時代を先取り」 「日本でなぜ技術革新が阻害されてしまうのか、身をもって経験した」 ── 国立研究開発法人理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「京」が昨年8月、電源を遮断して、2012年9月の本格稼働から7年間で運用を終えました。井上さんは富士通側の責任者でしたが、どんな心境でしたか。 井上 一つの時代が終わったなという思いでした。京は、単体としてのコンピューターの性能向上を求められる時代の最後に登場したスパコンだったからです。その後、スマートフォンなど
「QNX Neutrino」も結構長い歴史を持つリアルタイムOS(RTOS)である。もっとも、長い歴史を持つということは、いろいろな会社の事情に振り回されてきたということとニアリーイコールでもある。 ⇒連載記事「リアルタイムOS列伝」バックナンバー カナダの“カナタ”で創業 QNX Neutrinoは1980年、カナダのウォータールー大学の学生だったGordon Bell氏とDan Dodge氏により開発された。ちなみにBell氏は、DECでPDPやVAXの開発にも関わり、ACMのゴードンベル賞(HPCの分野で画期的な成果に対して贈られる賞。別名スパコン界のノーベル賞)の名前の由来となったGordon Bell氏とは同姓同名の別人である。 Bell氏とDodge氏は計算機学科でRTOSについて学んでおり、自分たちでもマイクロカーネルベースのRTOSを作ってみた。この試しに作ったRTOSの完
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 Twitter: @shiropen2 カナダの研究所Perimeter Institute for Theoretical Physicsとエジンバラ大学に所属する研究者らが発表した論文「The Penrose Tiling is a Quantum Error-Correcting Code」は、繰り返さないパターンである「ペンローズ・タイリング」が、量子コンピュータの誤り訂正に応用できることを提案した研究報告である。 量子コンピュータは量子力学の原理を利用することで、従来のコンピュータでは解くことが難しい問題を高速に解くことができる。しかし、量子情報は環境ノイズからの影響に
1986年2月21日に誕生した「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」に搭載されていた「謎の端子」とは?そこに接続できるはずだった周辺機器は未発売に終わりましたが、当時の任天堂の壮大な構想が隠されていました。 家庭用ゲーム市場の礎を築き上げた「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)の周辺機器として、「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」(以下、ディスクシステム)が1986年2月21日に発売されました。ここから『ゼルダの伝説』や『悪魔城ドラキュラ』など、ジャンルを問わずさまざまな名作ソフトが誕生しました。 ディスクシステムのゲームを遊ぶときは、ファミコン本体とディスクドライブを「RAMアダプタ」で接続し、ファミコンの電源をオンにしてからゲーム作品のデータが書き込まれた「ディスクカード」をディスクドライブに挿入しました。 この接続に使われた「RAMアダプタ」には、周辺機器を接続
ベスビオ火山噴火で炭化した「ヘルクラネウムの巻物」の文章が初めて解読された/EduceLab/University of Kentucky (CNN) 米国などの大学の研究者がこのほど、西暦79年のベスビオ火山噴火で黒焦げになった「ヘルクラネウムの巻物」のほぼ完全な文章を解読した。2000年近く前の思想を垣間見せる発見となった。 「ヘルクラネウムの巻物」はベスビオ火山噴火による焼失を免れた数百点のパピルスの一つ。炭化しているため、巻物を開こうとすると崩れる状態で、何か書かれていたとしても肉眼ではほぼ判読不可能だった。 研究者らは今回、コンピューター技術や高度な人工知能(AI)を駆使することで、極めて脆(もろ)い文書を開封して損傷させる危険を冒すことなく巻物を分析できるようになった。解読コンペ「ベスビオ火山チャレンジ」を立ち上げたコンピューター科学者らの5日の発表によると、これまでに2000
1990年代、ソ連崩壊後のロシアにおいて、当時高価だったHDDの代わりに「VHS」にデータを記録する方法が発明されました。HDD4台分のデータを1本のVHSに押し込むことができたロシアの革新的な製品「ArVid」について、ブロガーのジェイコブ・フィリップ氏が解説しています。 ArVid: how Russians squeezed 4 hard drives into one VHS tape in the 90s – Jacob Filipp https://jacobfilipp.com/arvid-vhs/ 当時のHDDは多くとも500MB程度の容量しかなく、大量のデータを保管するには大量のHDDを必要としました。しかし、当時ロシアにおいてHDD1台は1カ月分の給料に相当するほど高く、大容量の記録媒体の確保は困難だったそうです。 そうした状況を改善すべく、ロシアで開発された機器が「A
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