東京一極集中ともいえる舞台芸術業界で、演劇ファンの「好きな劇場」としてその名が挙がる博多座(福岡県福岡市)。入口の大階段を使った装飾や、2022年に演劇ファンのSNSを駆け抜けた「博多座検証シリーズ」、劇場内のスタッフや売店の盛り上げ、観やすい座席配置や音響など、全国各地の演劇ファンからさまざまな魅力が語られる劇場です。そのホスピタリティについて、博多座演劇部長の西中治朗さん、副支配人の城戸芳さん、宣伝担当の岩戸孝介さんにお話をうかがいました(全3ページ)。 取材・文/中川實穗 〇地方劇場のコンプレックスから生まれた発想 ――今回、SNSなどで語られている博多座さんの魅力を改めて調べたのですが、集約すると「おもてなしの精神」が特に愛されているのかなと感じました。そこはなにか戦略的にやられているものなのでしょうか? 城戸芳(以下、城戸) ありがとうございます。でも私たちとし