小澤実 西洋中世について、漠然としたイメージはあるが、実はよく分からないという方も多いかもしれません。一般的に「西洋中世」は、西ローマ帝国が滅亡した5世紀頃から、ルターに端を発する宗教改革が始まった15世紀頃までの約1000年間を指します。地域は、現在のヨーロッパ半島からトルコに至る、キリスト教が強い影響力を持っていたエリアですね。ただし、これは一般的な定義に過ぎず、専門分野ごとに西洋中世の捉え方や特徴は異なると思いますが、いかがでしょうか。 西原廉太 私の研究対象は、16世紀の英国宗教改革を端緒とするアングリカニズム(英国宗教改革神学)です。時代としては中世の後ですが、キリスト教が社会、政治、文化の中心的な役割を果たした中世を理解しなければ、この分野について論じることはできません。規範とすべき「古代」と、ルネサンスに代表される華々しい「近世」の間に位置する中世は、長らく「暗黒時代」と位置