午前五時、新宿。「平民君、今から松屋に行こう!」と元気に言われたので、ぼくはてっきり朝ごはんでも御馳走してもらえるのかと思っていたのだが、食券機で彼が購入するのは「えっと、ビール…ビール…と。よし、いちおう最初は二本買っておこう。それで、お新香ひとつ…と。これでいいよね」 ぼくはたいがい酒ばっかり飲んでいるので、今までも、自分以上に酒を飲んでいる人というのを見る機会があまりないのだけれど、彼だけは特別だ。ぼくらは前日のお昼頃からそれぞれ違う場所で酒を飲んでいて、全く寝ていなかった。写真にうつっている時計を見ると午前七時をまわっている。日曜日、早朝の松屋でカウンターに続々と並ぶビール瓶。その数10本以上…。つまみは紅生姜。 「よくこういう牛丼屋に行くんだよね。ビール飲みに。え、牛丼?食べたことないよ。ぼくはお新香しか頼まない。ビールはお米だから、これがぼくの御飯なんだよね。牛丼とビールはお米