ファンタジー物語では、魔法が発生する契機として、言葉(呪文)や文字(魔法陣)が登場しがちです。じつは、言葉や文字を媒介とする魔法の歴史は古く、西洋の中世期にもそのような考えが存在しました。 今回は、西洋中世期における「言葉」と「文字」に宿る霊性について紹介します。 魔法の媒介としての言葉と文字 モルガン・ル・フェ、William Henry Margetson, 1914年 私はファンタジージャンルの小説が好きなので、ファンタジーに欠かせない(※)「超自然的な力」が物語でどのような設定になっているかよく考えています。その際に、言葉や文字が超自然的な現象を媒介していることが多いと感じます。 ※ここで言うファンタジーの定義についてはおとぎ話とファンタジーの違いを参照。 言葉による魔法は、例えばJ.K.ローリング『ハリー・ポッター』やアーシュラ.K.ル=グヴィン『ゲド戦記』に記されています。具体