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2025年1月2日のブックマーク (2件)

  • もうすぐ消滅するという人間の翻訳について|平野暁人

    ひとつの翻訳が、終わった。 1の翻訳原稿を仕上げた、わけではない。 この世界に存在していた翻訳のひとつが いま終焉を迎えたのだ。 2024年末現在、僕の手元にきている来年の依頼は0件。 2025年の収入見込みも畢竟、0円ということになる。 あくまでもひとつの翻訳の話である。 つまりは翻訳のひとつの話である。 関係ないと思うならこの先を読まなくてもいい。 自分の知る現実と違うならこの先を信じなくてもいい。 人間の数だけ人間があり 現実の数だけ現実がある。 そのような場所を あるいはそのとらえ難さをこそ 人は「世界」と呼ぶのだから。 そうしてその「世界」の中で ひとつの翻訳が終わった。 じつに翻訳のひとつとして 文字通り終わってしまった。 もっとも、収入の見込みが完全に断たれた経験はこれが初めてではない。 わずか数ヶ月前まで遥かな対岸でちらちらと燃えていたはずの疫禍がその存外長い舌を露わにし

    もうすぐ消滅するという人間の翻訳について|平野暁人
  • 環流夢譚 その6――「宗教」概念という近代の神話|DJ プラパンチャ

    「(AはBと)部分的に同類であることによって(Bの)喩例である、とこういうことになるであろう」と言うとしても、そうではない。どうしてかというと、この世間では山と髪の毛でさえも、存在性、単一性、有形性(など)の点で部分的に同類であるから(すべてのものは他のすべてのものの喩例となってしまうから)である。 ナーガールジュナ作(とされる)『ヴァイダルヤ論』、梶山雄一・瓜生津隆真『大乗仏典14 龍樹論集』中公文庫、2004年、p.213 はじめに さて、前回の最後のあたりで、浄土真宗願寺派僧侶の島地黙雷という人物が登場しました。今回は、この人がどういう人物で、どういうことを主張したのかという問題にかなりの字数を割くことになるかと思います。まずは、一見すると回り道になるようですが、こんな話から始めてみましょう。 周知のように、岩倉具視や木戸孝允や伊藤博文や大久保利通などの新政府の中心人物たちは、明治

    環流夢譚 その6――「宗教」概念という近代の神話|DJ プラパンチャ
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