若者のことばづかいは、年長者から何かと目の敵にされることが多い。なかでも、敬語がうまく使えないことと並んで、従来からあることばが違った意味で用いられることが、しばしば槍玉にあげられる。一例を紹介しよう。 「○○くん、やばいよ、超かっこいー!」 どうして「かっこいい」のに「やばい」のか? 「やばい」は悪い意味をもつのではなかったのか? 「やばい」をほめことばで使うとはどういうことだ? 今どきの若者はことばもろくに使えんのか?! 年配の方々からは、こんなお小言も聞こえてきそうだ。しかし、「ことばの乱れ」を嘆く声は、平安時代からあった(興味ある方は『枕草子』を改めて読んでみてほしい)。いつの時代にも、ことばは移ろいゆく。その変化が年長世代には(清少納言ほどの知識人であっても)「乱れ」にみえてしまうのである。 秋月高太郎氏の『ありえない日本語』(ちくま新書)によれば、「やばい」をはじめとする現代の