原発から60キロ。福島県大玉村に、たった一人で東電に立ち向かっているコメ生産者がいる。 ㈲農作業互助会の鈴木博之さんだ。 昨年の震災直後、震災の影響について電話でお話をきいたとき、 「もう腹をくくった。いつも通りにコメを作る」と。 そして、 「検査の結果、基準値を上回る値が出たら、国に買い取ってもらうまで。そしてもし安全と認められたら、ちゃんと検査を受けて証明書をつけるから、安心して食べてほしい」と話していた。 そうして収穫されたH23年産米は、すこぶるできがよく、食味もよかった。ところが—— 今年2月末、倉庫には、コメの袋が山積みになっていた。 鈴木さんは、9品種のコメを栽培して、そのすべてを最も精度の高い検出限界1bq/㎏の測定器を持つ検査機関で調査した。その結果は0〜13bq/㎏。この4月からスタートした100bq/㎏を下回っていて、顧客にはそのコメの検査表のコピーをつけて販売してい