のみのような歯を使い、ものの数時間で1本の木をかじり倒すビーバー。樹皮を食べ、残りは巣やダムの材料として使う。(PHOTOGRAPH BY RONAN DONOVAN) 初めは毛皮を珍重され、その後、厄介者として扱われてきたビーバー。だが今、気候問題を解決するヒントを与えてくれると注目されている。 火は強風にあおられ、干ばつで乾ききった森に勢いよく燃え広がった。炎は轟音(ごうおん)を立てて森を走り、道路や川を越えてロッキー山脈国立公園の歴史的建造物や民家を焼き、2人の命を奪った。焼損面積は約8万ヘクタール。2020年10月21日に米国コロラド州北部で発生したこの「イースト・トラブルサム」火災は、同州史上で2番目に大きな火災だった。 この火災で焼け残った唯一と言えるものが、ビーバーの池だった。驚くには当たらない。ビーバーといえばダムを造って水をためる、げっ歯動物だ。だがビーバーがもたらす恩恵