「放浪記」で知られる作家の林芙美子(1903〜51年)の未発表の詩稿が、「赤毛のアン」を翻訳した村岡花子(1893〜1968年)の東京都内の遺族宅から見つかった。 芙美子が愛誦(あいしょう)した<花のいのちはみじかくて>の一節が織り込まれており、この名句の原典の可能性もある貴重な資料だ。 <花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かれど 風も吹くなり 雲も光るなり> 詩は12行で、原稿用紙に万年筆で書かれていた。自然の風景に人生の哀歓を重ねた言葉が、独特の丸い文字で刻まれている。 戦前から2人は親交があり、花子の書斎には古くから、詩が額に入れて飾られていた。花子の孫の村岡恵理さん(41)が今年7月、北九州市立文学館の今川英子副館長(近代文学)に調査を依頼し、全集未収録の直筆作品と確認された。 <花のいのちは――>の語句は、戦後に人気作家となった芙美子が好んで色紙などに書いた。女優の森光子さ