脱衣所に戻って一休み。 入り口近くにある張り紙に目が止まった。 「草津の湯の花について」 そこに書かれていたのは、前にもどこかでちょっと聞いたことはあったが、まだ詳しいことは知らなかった草津湯畑の湯の花のことだった。 草津のシンボル湯畑は、目の前でふつふつと源泉が湧きだしてそれが何本も並んだ木の樋を伝って最後は湯滝からざんざんと落ちる。 樋には効能あらたかな湯の花がどんどん溜まるので、2ヶ月に一度ほどの割合で採取する。 これは戦前は薬品で毒消しの丸薬にも調合されていたが、どうやら厚生省に薬品としての届け出をしなかったため、現在は薬品扱いされていない(別府の湯の花は届け出を行ったため現在も薬として認可されている)。 薬品として認められていないため、偽物の草津の湯の花が横行しても取り締まりの対象にはならない。 取り締まりの対象にならないのを良いことに、明らかなまがいものが「草津温泉 天然湯の花