――『メイクアガール』には新たにどんな要素を盛り込んだのでしょうか? 安田 今作の制作当時、「夢を追うこと」についてあれこれ考えたことがありました。夢を追い求めて実現するためには、それに伴う代償が必要です。膨大な時間、他のやりたいこと、人間関係、自分の健康といったさまざまな代償――いわば自分の「人生」すべてをつぎ込んでまで達成したい夢には、本当にそれに見合う価値があるのか――。『メイクアガール』ではそんな問いかけをしたかったんです。 ――今作の主人公である明は、まさに自分の人生すべてを研究につぎ込んでいますね。 安田 そうですね。明は亡き母・稲葉(いなば)から受け継いだ研究を完成させるため、自分の人生を費やしてきました。でも、最終的には追い求めていた夢を捨てて、0号との「家族関係」をとって人間らしい人生を歩む道を選びます。それは世間一般でいうところの「幸せ」のあり方です。しかし、そこに至る