政治資金問題を受けて自民党の6派閥のうち5派閥が解散を決めた。「派閥解体」後の自民党はこれからどう変わっていくのか。法政大の河野有理教授(政治学)に聞いた。【映像コンテンツ「Nikkei Film」】――岸田文雄首相が主導した派閥解消の流れをどうみていますか。「政治学者の感覚ではそこまで驚きはない。政治改革を経て30年間、派閥の力が弱体化していて昔日のものではないことを表している。首相の奇手は
安倍氏の死に伴い、彼の政策についての回顧などがまま見られるようになったが、安倍政権は、かなり左派的であったのが特徴であったと思う。「何を」と言われそうだが、実際そうなのである。 安倍政権の左派的性格は政治評論では常識安倍政権がかなり左派的であるというのは、政権が運営された時期から言われていた。例えば退陣に当たって歴史社会学者の石原俊氏が寄稿した文には、以下のような一節がある。 安倍氏は、一般的な基準では右派政治家に分類されるだろう。しかし、世の右派や左派が考えるほどには、一貫した「思想」がないように思える。アベノミクスのモデルが欧州急進左派の経済政策なのは、周知の事実だ。第2次政権は、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ対策法、部落差別解消推進法、アイヌ文化振興法等々のリベラルなマイノリティー支援法を次々と成立させた。 石原俊 毎日新聞(2020/9/4)「論点」護憲派は、自民党や旧安倍政権の
エマニュエル・トッド[Emmanuel Todd]氏 1951年フランス生まれ。パリ政治学院卒。英ケンブリッジ大学で博士号を取得。家族構成や出生率、死亡率から世界の潮流を読む。76年の著書で旧ソ連の崩壊を予言した。米国の衰退期入りを指摘した2002年の『帝国以後』は世界的ベストセラーに。その後もアラブの春、トランプ大統領誕生、英国の欧州連合(EU)離脱を言い当てた。 世界で民主主義が機能不全に陥っているように見えます。民主主義を働かせるにはどうしたらいいのでしょうか。 機能不全がどこから生じているのか。2つの側面があります。1つ目は教育による社会の分断です。高等教育を受けた人、中等教育までの人、読み書きができるだけのレベルの人というように分かれています。一昔前は読み書きができれば平等という感覚があったんですが、今はそれがなくなりました。 上層にいる人たちが下層の人たちをさげすむような状況が
先手どころか後手後手の緊急事態宣言 今日2日、東京都と埼玉県が緊急事態宣言の発出を政府に要請するとの報道がなされました。午後2時から小池東京都知事と大野埼玉県知事が西村経済再生担当大臣と面会して、要請するということです。 この緊急事態宣言の発出要請については、既に年末から東京都の中で検討されていたことでもありましたが、大晦日31日の東京都新規感染者数や年末年始の医療供給体制の逼迫から発出を正式に要請することになったもので、今後同様に感染者の増加傾向が続く近隣の千葉県や神奈川県も追随して要請する見込みとの報道もあります。 菅総理は変異株の存在が明るみに出た昨年末に「国民の命と暮らしを守るために先手、先手で対応するために土曜日(26日)に方針を指示し、全世界から外国人の新規入国者の停止を発表した」とコメントをしていましたが、多くの国民は「後手後手」の印象を受けていることは間違いありません。12
①日本学術会議の構成がどうだろうが個々の研究者の研究活動が制約されたりはしないので憲法上の学問の自由との関係は極めて薄く、そこを攻め筋にしても法的には弱いよねと。それより学術会議法7条2項が「規定による推薦に基づいて」首相が任命するとしている点の行政法上の意義が焦点だろう。
歴史を修正するナショナリストか、それとも実践的な現実主義者か。戦後日本で最も長く総理大臣を務めた安倍晋三氏が残すもの、辞任後のその「レガシー」について、日本内外で専門家の評価が分かれている。 批判する人たちにとって安倍氏とは、第2次世界大戦中の日本の行動をともかくそれほど深刻なものではなかったことにしたい高齢保守層の態度を象徴しつつ、トラブルの要素をはらんだ過剰に強気の外交を展開しようとする存在だった。 一方で支持者にとって安倍氏は、世界における日本の地位を向上させた総理大臣だった。国として当然の正当な意欲と、世界3位の経済大国としての影響力を上手に調和させ、国益を実現しようとした人ということになる。
「#検察庁法改正案に抗議します」5月9日夜から10日にかけて、Twitter上で、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを付けた投稿が多数なされ、本稿執筆開始時点(5月11日)でもなおバズり続けている。 筆者が最初に抱いた感想は、「ああ、1月の検事長勤務延長によって、政府は信用を失っているのだな」というものである。 なぜ、そう思ったか。順序立てて説明しよう。 検事長勤務延長問題まず、1月に行われた東京高検検事長の勤務延長について、必要な範囲で振り返りつつ、筆者の立場を明らかにしておこう。 検察官の定年について検察庁法22条は、「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」と規定している。要するに、検察庁法は、検察官の定年を63歳としているのである(検事総長を除く)。 ところが、2月に63歳で定年退職するはずであった東京高検検事長につ
フランスでの燃料税増税への反対デモ「黄色いベスト運動」のように、いま世界中で政治への不満が高まっている。その背景として、世界の政党の大きな変容が挙げられる。 かつて左派といえば、労働者の権利を守る集団だった。だが現在の左派政党は労働者の味方であることをやめ、エリートのための政党に変容しつつあると、金融アナリストの吉松崇氏は指摘する。 吉松氏の著書『労働者の味方をやめた世界の左派政党』では、『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティの政治分析をヒントに、21世紀の労働者を救う道を探っている。 本稿では同書より、ピケティの分析から左派政党の支持基盤が知的エリートに変容し、ブルーカラーの味方がいなくなりつつある現状を指摘した一節を紹介する。 ※本稿は吉松崇著『労働者の味方をやめた世界の左派政党』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。 トマ・ピケティが発見した左派政党の支持者の「新法則」 ピケ
リベラルと民主党から立ち去ろう!――ブランドン・ストラカというニューヨークのゲイの美容師が、自分は嫌悪に満ちたリベラルと民主党を支持することは出来ないため立ち去ることにしたという内容の動画をYouTubeで発表したのが話題になり、「ウォーク・アウェイ運動」がアメリカで展開されている。 かつて自分はリベラルだった、という言葉で始まるビデオで、彼は、人種・性的指向・性別に基づく差別や独裁的思想、言論弾圧を拒絶するために昔リベラルになったが、今では、それとまったく同じ理由からリベラルと民主党から立ち去るのだと説明している。SNSには彼に賛同した人々によって、なぜ自分がリベラルに愛想をつかしたのか、民主党を捨てたのかを告白するメッセージが数多くあげられている。 このウォーク・アウェイ運動は組織だった運動ではないので、彼らの掲げるメッセージは多様である。リベラルに愛想をつかしたという人もいれば、左派
学校法人「森友学園」との国有地取引の際、財務省近畿財務局の管財部門が作成した決裁文書について、「契約当時の文書」と、「国有地売却問題の発覚後に国会議員らに開示した文書」の内容が違っていたと朝日新聞が報じた問題、3月7日に、国有地取引を担当していた近畿財務局職員が自殺し、9日に、国会議員に決裁文書を開示した当時の財務省理財局長佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任した。 そして、昨日(3月12日) 財務省は、合わせて14の決裁文書に書き換えがあったこと、それらは、当時の財務省理財局の指示で、近畿財務局が書き換えを行っていたことを認める調査結果を公表した。 この問題に関しては、3月8日に出したブログ記事【「森友決裁文書書き換え問題」は“2つの可能性”を区別することが必要】で、国会議員に開示された決裁文書とは異なった内容の決裁文書が財務省内に存在していたとすると、「決裁文書原本の写しとして国会議員に開示さ
今日の横浜北部は、久々に曇って夕方には冷たい雨になりました。 さて、今回も以前紹介した記事の要約です。ちょっと長いのですが、その内容はかなり考えさせてくれるものです。 なぜアメリカではトランプが選出され、欧州では反EUの機運がここまで高まってきているのか、その原因をリベラル派の無理な考え方にあると分析した記事です。 === リベラリズムの終わり? by ダミール・マルージック 2017年11月1日 「べつに私はトランプ支持者というわけではないんですよ。ただ、あなたが擁護しようとしている土台そのものすべてを、あなた自身がぶち壊しにしているんですよ」 このようなこじれた感情のおかげで、私は過去10ヶ月間において私よりもはるかに執拗にトランプ大統領に反対している人々と、無数の議論を行うはめになった。 私はワシントンDCに住んでいる。この地域に住む人々は、先の大統領選で90.9%という圧倒的な割合
<米大統領選の中で、alt-right(オルタナ右翼)と呼ばれるもう一つの右翼・保守思想が注目を集めている。その思想は、既存の保守主義とどのように違うのか、どのように生まれたのか考える...> 現行の右翼・保守思想に対するオルタナティヴ alt-right(オルタナ右翼)について日本語で読めるまとまった紹介がまだ無いようなので、私なりに書いてみることにした。政治学は専門ではないし、そもそも私の関心はalt-right全般ではなく前に取り上げた新反動主義だけなのだが、一応様々な文献を読んだり(ここしばらくアメリカのメディアはalt-right関係の記事を量産している)、alt-rightな人々が集う掲示板やチャット、Twitterのハッシュタグを覗いたりはしてみた。といっても、あくまで個人的な解釈と考えてもらいたい。 【参考記事】アメリカの「ネトウヨ」と「新反動主義」 まず、「alt-」ri
——いよいよ、トランプ氏が就任ですけれども。 だいぶ落ち込みましたよ! 僕はオバマ大好きでしたし、ヒラリーの方が得票率が高かったから、余計に。オバマはスピーチの名人だったから解説しても面白いし、本にもなった。でもヒラリーとトランプじゃ、どっちにしても本にはならないかな。名演説を集めた僕の本の価値は変わらないと思うよ(笑) ——就任演説は、どんなものになりそうですか? きっとね、トランプは目の前にいる人たちがどんな人かによって、話すことを変えると思いますよ。就任演説は、スピーチライターを使って、まともなことを言うでしょう。具体的な政策を挙げず、怒りを煽らず、アメリカを再び偉大にしよう、仕事を取り戻そう、という内容でしょうね。 ——過激な発言は……? Twitterは続けるでしょ。あとは、「本当のトランプを見たければ、集会に行け」。彼を支持している人は過激な発言を好む人たち。だからメディアもそ
これは重要なコラム。 三浦瑠璃「メディア「ムラ」は民主的に統制されるべきか?―高市総務相の放送法発言問題」『山猫日記』ブログ、2016年2月16日 浅薄な党派性や、学者業界のやっかみ、色々なゲスの勘ぐりとかは別にして、自分の拠って立つ根拠を問い直すのに有用な論説です。 メディアへの政治の介入がメディア産業大手の媒体で盛んに議論されるけれども、どこかピンとこない。 言論が不自由になっているというが、不自由になったとされる事例の大部分は、メディア産業の内部で勝手に自粛し、勝手に忖度して不自由にしているだけだ。確かに政治家の圧力はあるだろう。しかしなぜそれにメディアが脆弱になったのか? ここで三浦さんはメディア産業のムラ社会としての崩壊あるいは弱体化を真の理由としています。 私がもっと大雑把に単刀直入に言ってしまうと、今の政治家が昔よりメディアに圧力をかけるようになったというよりは、今のメディア
今年9月19日未明、安全保障関連法が参議院で可決され、成立した。それに先立ち、同法の廃案を求める抗議行動(以下、反安保デモ)が大規模に展開されてきたことも記憶に新しい。今回の抗議行動は、脱原発関連デモをはじめ2010年代に盛り上がりを見せてきたリベラル系の社会運動の集大成といった観があった。 反安保デモの特色のひとつは、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)という学生組織が盛んにメディアに登場した点だ。日本では実に1996年の薬害エイズ問題抗議運動以来、ほぼ20年ぶりに学生運動が政治の第一線に登場した事件だった。 この手の原稿を書く際のマナーとして、不粋を承知で自分の立場を先に述べておこう。まず、私は中国国家や軍部の安定性を基本的に信用していないので、日米同盟を強化する防衛政策の方向性にはおおむね賛成だ。現在、中国の軍事的なターゲットは南シナ海で、リスクに見合わない東シナ海への
『中央公論』は最近中堅どころの研究者の原稿をよく掲載するようになって、研究者同士で議論するような内容を一般向けに載せてくれているので、毎号興味深いものをメモしておこうと思うのだが、出張に行っていたり時間がなくて時期を逸したりして結局メモできていない。そういえば以前、【新企画】と銘打って「おじさん雑誌レビュー」なるカテゴリを新設したが、ボランティアで論壇時評なんてとてもやる時間ないので(←頼まれたってやりませんよ)、自分の文章が掲載されたときに、ついでに他の文章も読んでコメントするぐらいで企画が立ち消えになっていた。 今回は自分の文章は掲載されていないが、偶然、刊行されてすぐ手に取ったので取り急ぎ。論文に集中しすぎて逆に滞っているので気分転換。 巻頭連載コラムの「時評2015」の一つ、宇野重規「『I』と『We』と『Japan』–戦後70年談話の複雑な構造」(22−23頁)が面白かった。 8月
リンク Yahoo!ニュース 安保法案 民主党、廃案訴え全国街頭活動 枝野氏「ヒトラーは選挙で権力握り、独裁に走った」(産経新聞) - Yahoo!ニュース 民主党は18日、安全保障関連法案の廃案を目指し、全国で一斉に街頭活動を始めた。 - Yahoo!ニュース(産経新聞) 民主党は18日、安全保障関連法案の廃案を目指し、全国で一斉に街頭活動を始めた。岡田克也代表、枝野幸男幹事長ら党幹部は20日までの3連休を利用して、都市部を中心に全国各地で街頭演説を行う。同党は安倍晋三政権に対する世論の反発が急速に広がっているとみており、国会外での活動を強化する考えだ。 枝野氏は18日、さいたま市のJR大宮駅前で演説し「国民の声が大きくなったら、国会で多数を持っていても抗(あらが)えない。国民世論と首相との戦いだ。内閣を退陣に追い込み安保法制をストップさせる」と訴えた。 また、政府が憲法解釈の変更で集団
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