吉海 直人(日本語日本文学科 特任教授) よく日本では、昔は左が上位で右が下位だったといわれています。それに対して古代中国(漢)では右が上位だったといわれています。その名残が「左遷」という言葉です。右から左に遷されることが大きなマイナスだったからです。もっとも中国でも、唐の時代には左上位に変わっており、それが日本にもたらされたとも考えられます。 実は左が上位になったのは、争いごとがなかったからだという説もあります。というのも、もともと左右に差はなかったのですが、左は文官・右は武官と別れていたため、戦争があると右の武官が重視されることで右が上位になり、平和な時代になると逆に左の文官が上位になるというわけです。平安時代の日本は平和だったので、左上位になったというわけです。 なお西洋ではというか、世界的にはやはり右が上位でした。「右に出るものはいない」や「右に同じ」という慣用句は、そこから来てい