1927年の金融恐慌から2年後、ようやく日本経済が落ち着きを取り戻した頃のことです。 ライオン宰相と呼ばれた浜口雄幸内閣は、「金本位制(金輸出解禁)への復帰」を最大の経済政策として登場します。 1929年8月、政府は、金解禁と緊縮財政に対する国民の理解を得るために、1300万枚の宣伝ビラとラジオ放送を使い、国民に次のとおり呼びかけます。 今日のままの不景気は、底の知れない不景気であります。 前途暗澹たる不景気であります。 これに反して、緊縮、節約、金解禁によるところの不景気は底をついた不景気であります。 前途晧々たる光明を望んでの一時の不景気であります。 ・・・・我々は、国民諸君とともにこの一時の苦痛をしのんで、 後日の大なる発展を遂げなければなりません。 金融恐慌で痛手を負った財界人や庶民の心に、この政策は輝いて見えました。 この頃、「♪金の解禁立て直し、来るか時節が手を取って♪」という