ガンダムについてはすでに日本の文化史の背骨の一部を形成してしまっていて、ガンダムを語ることは(サンライズのキャラクター戦略を遠目に観ながらも)ある種、硬直化した訓詁学の様相を示している。いろいろなギャグや二次的、三次的創作物も要するにガンダム訓詁学の範囲の中での話である。ガンダムを語るもの、研究するものはこの硬直化したガンダム訓詁学の中でいかに面白いネタを提供するかに己の才能を賭けているといえようか。僕自身はガンダムの訓詁学よりも、やはりガンダムを通してプラスアルファのことを語っている著作を読むのが好きだ。そういう可能性をもった著作としては、永瀬唯『宇宙世紀科学読本』、多根清史『宇宙世紀の政治経済学』、鈴木ドイツ『ガンダムと第二次世界大戦」、あるいは関連研究として稲葉振一郎『オタクの遺伝子』(この本自体は長谷川裕一論である)をあげることができるだろう。いずれの著作も読んでいるとガンダムを通