夢か現実かの二択では未来は絶対に開けない 富野 今回の編集部からのお題は、“若者たちの未来への提言”です。でもね、この設問自体が間違っているんですよ。若者なんて未来どころか来年のことすら想像つかない。就活やってる人は、就職が決まらないかぎり何も考えられないというのが現実でしょ。でも、こういうテーマを設定した瞬間に、メディアの人間は夢か現実かという二択を迫る。そんなのは、お前らが安定した仕事についてる気楽な立場だから言えることであって、夢か現実かの二択で未来なんていうのは絶対に開けない。 冲方 そもそも夢と現実というのは横並びではないということですか? 富野 そう。現実というのは安定した未来ということでしょ。そんなの誰だって求めている。自分の好きな仕事をやりながら安定した未来を手に入れたいというのは皆が思うことで、夢か現実かではなくて、夢も現実もなんですよ。でも実際にはこんな仕事しかできない