東日本大震災の際、ヤマト運輸のセールスドライバー(宅急便を集荷するドライバー=SD)がいち早く自発的に救援物資の配送を始めたというのはよく知られたエピソードだ。同社の配送網は地域社会に貢献できるポテンシャルを持つ。 そのヤマトが展開する社会貢献目的のサービスが「まごころ宅急便」だ。過疎地で自治体などと連携しながら高齢者の「買い物代行」と「見守り」を行なう。高齢者が注文した食材などをヤマトが配送し、SDは受け取りの際に安否確認して自治体などに報告する取り組みである。 このサービスは2008年に盛岡市内のサービスセンター長が、一人暮らしの女性高齢者宅に配達した際の経験がきっかけで生まれた。配達先の女性がいつもより元気のない様子で気になったもののそのまま引き揚げたところ、3日後に孤独死した状態で発見されたのだ。こうした事態を防止できないか、という問題意識がきっかけだった。 ヤマトHD経営戦略担当