『労基旬報』2月25日号に掲載した「わかっている人とわかっていない人」です。 一昨年末の総選挙で自民党が大勝し、第二次安倍内閣が成立してから、内閣や内閣府の会議体主導でいくつもの労働法制改革が進められている。経済財政諮問会議、規制改革会議、産業競争力会議、国家戦略特区ワーキンググループなどである。この動きに批判的な人々は、これらすべてを十把一絡げに批判する傾向があるようである。しかし、その議論の中身をよく見れば、雇用労働問題の筋道がわかった上で規制改革に向けた議論を展開している人々と、まったくわかっていないまま乱暴な議論を振り回している人々の間に大きな落差があることがわかる。 筆者が昨年雑誌『世界』5月号に「労使双方が納得する解雇規制とは何か」を書いたときには、経済財政諮問会議や規制改革会議の議論を評価しつつ、産業競争力会議の議論を批判した。それは、前者が日本における整理解雇の難しさを日本