英国の大手メディアがソーシャルメディアをいかに活用しているかについて、「新聞協会報」(3月27日号)に書いた。かなり大きなスペースをいただいたのだけれども、いろいろなことが起きていて、調べた分だけでもすべてを入れることができなかった。 今回は、ひとまず、協会報掲載分に若干補足したものをここで紹介し、次回のエントリーで、入りきれなかった論点を紹介してみようと思う。 *** 英大手メディアは、インターネット上で参加者が情報を提供・交換・共有するサービス、「ソーシャルメディア」の活用を活発化させている。 ネットが情報収集の大きな場として成長する中で、リアルおよびにバーチャルな友人・知人による口コミが情報の収拾選別の方法として広まってきたことが背景にある。 速報性に優れることで大きな注目を浴びる短文投稿サービス「ツイッター」の例を中心に、これまでの経緯やガイドラインをまとめてみた。 ―ツイッターで
英大衆紙Daily MailのWebサイト「Mail Online」 の勢いが止まらない。英Audit Bureau of Circulation (ABC)によると、11月のユニークブラウザー数が約8500万に達した。新聞サイトとしては、驚異的な訪問数である。前月比7.75%も増えている。 日間の平均ブラウザー数は約500万である。前月比で11.64%増、前年比で73.29%増と急成長を続けている。英国の新聞サイトでは断トツのトップを独走している。さらに、世界の新聞サイトと比べても、トラフィック数ではビッグ3に浮上してきた。老舗高級新聞のNew York Timesや新興ブログ系新聞Huffington Postとトップの座を競っている。 「Mail Online」に実際にアクセスして閲覧すれば、人気が沸騰している理由が納得できるだろう。スポーツ、ファッション、マネー、食、トラベル、ヘル
the Times of London / the Sunday TimesのWebサイトが有料化して3ヶ月が経ったが、ユニークビジター数はどう変わったのか。Nielsenの調査結果が出たので見てみよう。 下のグラフのように、有料化前(pre-paywall) の2010年第2四半期のユニークビジター数は310万人であった。有料化後(post-paywall) の2010年第3四半期には、ユニークビジター数が178万人に減った。有料化前のビジター数の58%である。さらに、paywallの中のコンテンツ、つまり有料コンテンツを閲覧したユニークユーザー数は36万2000人となった。第3四半期にサイトに訪れたユーザーの5人に1人が有料コンテンツに接したことになる。 注:英国の家庭や職場から利用しているユーザー数。英国外からのユーザーは対象外。またケータイやインターネットカフェ、空港などからのユー
【ロンドン=橋本聡】英高級紙タイムズとその日曜版サンデー・タイムズが、6月から電子版を全面有料化する。サイトへの課金は、売り上げが低迷する新聞業界の大きな課題で、同紙などを経営する「メディア王」ルパート・マードック氏の実験として成否が注目されている。 インターネットでの購読料は1日に1ポンド(約132円)で、新聞1部と同じ値段にする。1週間続けて購読すれば2ポンドと割安になる。読める記事は紙面と同じ内容だが、動画や動くグラフィックなどの付加価値をつける。 ジェームズ・ハーディング編集局長は、大半の新聞サイトが無料となっている現状に「ジャーナリズムの価値を損ねている。課金しなくては、いずれ新聞は消えてなくなる」と危機感を隠さない。 タイムズは18世紀に創刊。不況下で部数は前年比1割以上落ち、50万部。昨年8700万ポンド(約115億円)の赤字だった。編集経費の1割を削り、人減らしも始め
UK broadcasters fined £4.2m for illegally sharing details on freelancers
Times OnlineとSun Onlineの新聞サイトが、ABCへのトラフィックデータの提供を取り止めた。いずれもマードック帝国(News Corpration)傘下の新聞サイトで、6月にもサイトの有料化を始めることになっている。 WSJやFTの経済専門紙を除けば、新聞サイトの本格的な有料化はこれからで、その口火を切るのがTimes OnlineとSun Onlineの両サイトである。ところが、英新聞の3月のABC考査が公表された中で、以下のグラフのように、注目の両新聞サイトのトラフィックデータが抜けているではないか。今後とも両サイトはトラフィックデータを公表しない方針のようだ。 このままでは、6月からの有料化によって、サイトのトラフィックがどの程度変動するかが、わからないままになりそう。Times Onlineは £1(約145円)/日や£2 (約290円)/週の購読料で、6月から有
日々の報道を追っているとなかなか気づきにくいが、ある人の指摘や記事を通じて、大局的な流れが明確に見えてくるように思うことがある。 筆者の最近の経験では、英フィナンシャル・タイムズ紙のコラムニスト、サイモン・クーパー氏によるコラム(3月7日付)「2つの欧州の再来(Return of the Two Europes)」(有料記事)がまさにそんな記事だった。同氏は、トランプ米大統領のロシアへの傾倒が冷戦時代の地政学を復活させ、「東欧」と「西欧」の再分離を引き起こしていると指摘している。 そもそも、「東欧」「西欧」とは地政学的にはどういう区分けになっているのか。 クーパー氏のコラムから少し離れて、その概念を見てみたい。 西側とは 歴史・政治的な意味での欧州の「東西」とは、冷戦時代(1945年〜1991年)における政治的・軍事的な対立を基にする。 「西側(the West)」とは、米国を中心とする、
英Financial Timesは位置情報共有サービスの Foursquareと組んで、若年読者の獲得に乗り出すことになった。 英Financial Timesのサイト(FT.com)は、WSJ.comと並んで新聞サイト有料化の成功事例としてもてはやされている。だが、Paywall(課金の壁)を設けることで、Paywallを嫌う若者をサイトから遠ざけることになっている。FT.comではメータ制を採用し、登録すれば月間10本までの記事を無料で読めるようにしている。でもそれ以上の本数の記事はPaywallで遮られるため、やはり若い人は近づかなくなっているだろう。 そこで、有料読者になりそうな若年層のユーザーに対して、もっとFTの記事に親しんでもらうために、無料で閲覧できる機会を増やす仕掛けを編み出した。若年の潜在読者がよく訪れる特定の場所において、Paywallが取り払われるシステムを考えたの
英地方紙が試行したサイトの有料サービスが挫折した。 Johnston Pressは、同社傘下の地方紙6紙の各サイトで09年12月から有料サービスを開始していたが、悲惨な結果に終わり、来週からpay wall(課金の壁)を取り払うことになった。 Webサイトの有料化を試行した6紙は次の通り。 the Worksop Guardian; the Ripley & Heanor News; the Whitby Gazette; the Northumberland Gazette; Carrick Gazette ; the Southern Reporter 6紙の各発行部数(新聞紙のcirculation)は、ABC考査で2598部~1万6412部と少部数であったが、その部数がさらにWeb有料化試行の前から下降していた。そこで1期 £5=約700円(£5 a quarter)のWebサイト
英国の大手メディアグループのピアソン(Pearson)が、アップルのiPadを活用して、出版事業や教育事業で攻勢をかけたいようだ。同社は、Pengine(ペンギン)やFT(ファイナンシャル・タイムズ)などを傘下に持ち、すでに教育事業市場や出版事業で確固たる地位を築いてきたが、これからはデジタル化を加速化させ、さらなる発展を目指す。 そのデジタル化で注目されるのが、iPadのような電子書籍/新聞リーダー装置に、どう対応していくかである。PengineのiPad版電子書籍のデモが公開されている。教材風の電子コンテンツが多い。 ◇参考 ・First Look: How Penguin Will Reinvent Books With iPad(paidContent:UK) Pearson looks to iPad for expansion plans(MailOnline)
【ロンドン=大野博人】エイプリル・フールの1日、英メディアでは「新時代到来」を告げる報道が相次いだ。 デーリー・テレグラフ紙は、魚の泳ぎが起こす水の動きをとらえて電力に変えるシステムが開発されたと紹介。日本のテクノロジーを利用しており、平均的なサケが100メートル川をさかのぼる際のエネルギーで紅茶18杯をわかせる、としている。 デーリー・エクスプレス紙は、英国で自動車のボディー用の特殊なフィルムの発明を報じた。速度違反取り締まりカメラに写らなくする効果があるという。 ガーディアン紙は、メディア環境の変化に対応し、紙の新聞発行を全面的に放棄。トゥイッターという急速に普及中の一種のソーシャル・ネットワーキング・サービスだけで報道を続けると宣言した。 いずれも、一般記事に潜り込ませる形で掲載されたが、冗談が許される4月1日ならではの記事だった。
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