エンジニアリングとデザインの世界をざっくり分けて見た場合、どちらにも中途半端に足を突っ込んだことがある立場としては、基本理念というかアプローチが違うと感じることが多々ある。それはその人が受けてきた基礎教育の方向性に起因しているのではないかと、ずいぶん前から思っている。異論はさまざまあると思うけど、わかりやすく二項対立構図で比較してみる。 エンジニアリング教育の基本方針は、「いかにつくるか」という課題解決能力の開発を目指して、対象領域の知識を深め、論理を積み重ねて演繹的に正解を推論する「順問題」のアプローチが重視されているとする。それに対して、デザイン教育の基本方針は「なにをつくるか」という問題発見能力の開発を目指して、特定の領域の知識の深さを求めるよりも、広い領域の知識同士を接続する思考やプロセスを重視し、ある環境や状況における最適解を帰納的に推論する「逆問題」のアプローチが重視されている