最近100歳になったばかりのSさん。 老人ホームで暮らしている。 そんな彼女は診察のたびに口癖のようにこう言う。 一昨年、そんな彼女が本当に死にそうになった。 肺炎から心不全が悪化。かなり厳しい状況となった。 積極的治療は望まないと事前指示書に書かれている。家族も、もう充分頑張りましたから、あとはできるだけ苦しまないようにお願いします、と看取りの方針に同意。居室の荷物の片づけを始めた。 しかし、彼女は僕に「先生、死にたくない・・」と消え入るような声で訴えた。 ケアをしていたホームの看護師たちも、彼女の生きたいという意欲を見逃さなかった。 抗菌薬の投与を開始すると、肺炎は徐々に改善。心機能も少しずつ回復し、現在は、在宅酸素療法も卒業している。食堂への移動は車いすだが、食事は全量食べている。 そして、彼女は少し顔をしかめながら今日もこういうのだ。