現在、アフリカゾウ(Loxodonta africana)が深刻な密猟の危機にさらされています。その最大の原因となっているのが、象牙を目的とした密猟と違法取引(密輸)です。 アフリカゾウの象牙は1989年より商業目的の国際取引が原則禁止されていますが、象牙に対するアジア諸国での過剰な需要はなくならず、密猟も続いています。アフリカゾウの個体数は、2006年以降の10年間で11万頭あまり減少したとみられ、近年は、密猟の犠牲になるアフリカゾウの数が、年間2万頭から3万頭に上るともいわれています。 こうした問題が横行している原因は、一つではありません。たとえば、貧困に苦しむ生息国での密猟の防止活動が十分に行なえていないこと、象牙の密輸にかかわる国々の取り締まりの甘さや、政治的腐敗、市場で違法象牙と合法な象牙の区別ができていないことなど、国や地域によってさまざまな原因が重なり、問題を大きくしています