ため息をつきながら、あきらめたように苦笑した。「同じ組織の人が検証する限界でしょう」。化学機械メーカー「大川原化工機」を巡る冤罪(えんざい)事件の捜査に携わった捜査員は、警視庁が7日に公表した検証報告書に対し、「事件の本質を探ろうとしていない逃げ腰の内容だ」と切り捨てた。 経産省に新たに聴取せず 捜査員がまず指摘したのは、公安部長による経済産業省への働きかけの有無に関する報告書の記述だ。 経産省は当初、公安部による輸出規制省令の独自解釈に否定的な見解を示したが、一転して「(大川原の噴霧乾燥器が規制に)該当すると思われる」と回答。外為法違反での社長らの逮捕・起訴につながった。 経産省の見解が変わった要因について、公安部と経産省の打ち合わせに同席していた警部補は国家賠償訴訟で「公安部長が経産省にお願いしたと認識している」と証言した。 報告書は「当該証言は明確な根拠があったわけではない」と指摘。